Episode8-2 マザーアドバイス ページ32
「……ただいま。遅くなって、ごめんなさい」
二日連続門限破りだが、それでも母は怒らなかった。
「どうしたの？ なんか、嫌なことあった？」
怒るどころか、心配してくれた。
「え？」
「あんた、昨日はすごく生き生きした顔だったけど、今日は何か悩んでいる顔してるから」
見透かされてる……。
「ちょっと、友達といろいろあって……」
このままずっと抱え込んでいてもしょうがないよね。
いっそのこと、話してしまおう。
あ、でも、魔法のこととかは触れないようにしよう。きっと信じてもらえないから。
夕飯を食べながら、母に相談した。
「私の友達ね……いままで、ずっと私と一緒に勉強してきたんだけど、今日その友達に『これからは一人で』って言われて……。
私、その子の力になりたくて、一緒だから頑張れたのに、そう言われてちょっとショックで」
『戦う』ことを『勉強』に代えて話した。
若干意味が変わってくるけど、大体一緒だよね。
「なるほどね。それで、あんたはどうしたいの？」
「一緒にやりたいよ。でも、それが迷惑になっちゃうなら……諦めるよ」
諦めきれるかな。アミちゃんが一緒じゃなくて、大丈夫かな。
「その友達は、あんたのこと迷惑だって言ってた？」
「一応、それは否定してくれたけど、内心はどうか分からないよ」
母は箸を止め、私を見つめてこう言った。
「私もあったわ、そういうこと。
相手のためを思ってても、空回りしちゃうのよね。
そういうときは、見守ってあげるのが一番よ。いつも通りでいつつ、その子が助けを求めていたら助けてあげる。それが一番よ。
いつもそばにいたいって思うのは大事で、いいことなんだけど、距離の取り方も覚えなきゃいけないのよね」
距離の、取り方……。
「いつも通りで、いいの？」
「ええ。むしろ、いつも通りがいいのよ」
アミちゃんと同じことを言っている。
『いつも通り』。特に何かしようとせず、見守ってあげる。
アミちゃんに依存しちゃってるのは、ダメだもんね。
私がアミちゃん離れできるように、私こそ『一人でも戦える』ように。
「ありがとう。なんかちょっとすっきりした！」
「頑張りなさいよ〜。そうやって思いっきり悩めるのは若いうちだけなんだから」
夕食を食べるスピードが、一気に速くなった。
《お母さん、いい人だね》
寝る直前に、アリアドネが前触れなくそう話しかけた。
――急にどうしたの？
《別に》と答えたので、私は眠りにつくことにした。
Episode8-3 遅刻→←Episode8 いつも通りが一番です
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます！地道に、頑張っていきますね！ (2016年8月24日 12時) (
レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで！ (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……？ (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：頂志桜 | 作成日時：2016年1月25日 1時
