Episode8 いつも通りが一番です ページ31
秘密基地の、アミちゃんの部屋。
ロビンさんはアミちゃんの額に右手を軽く被せ、目を閉じ集中している。
「リカバー…………っ!!」
さっきよりも声に力がこもっているような。
アミちゃんの身体が額をはじめとして光を放つ。
アミちゃんの表情は安らかに、ロビンさんの表情は辛くなっていく。
「んっ……ふわぁ?」
居眠りが見つかった時のような、何が何だか分からなさそうなアミちゃんから、ロビンさんは静かに手を放した。
「あれ……私、どうして……?」
「おはよう、アミちゃん」
よろめくロビンさんを支えながら、アミちゃんに微笑む。
「お、おはよう……?」
「大丈夫? どこか痛いところとかない?」
見たところ大丈夫そうだけどね。
「たぶん大丈夫だと思います。ロビンさんのおかげですね」
「いえいえ……礼には及びませんよ、アミーゼ嬢」
息を切らしながらロビンさんは笑顔を作る。
表情は平気そうでも、身体は言うことを聞かないようで、足取りがおぼつかない。
「魔力の使い過ぎですよ、ロビンさん」
ロビンさんを無理やりにでも椅子にもたれかけさせないと。
「Aさん……」
私を見つめる目が虚ろになってきている。
「少しは休んでください。トライグと戦った後なんですし、無理しちゃダメですよ」
うなずいた彼は、すぐにまぶたを下ろした。
「アミちゃん……やっぱりエマさんに一人で勝ちたい?」
「できることなら、そうさせてもらいたいです」
アミちゃんは真剣な眼差しで私を見つめてきた。
「私は、どうすればいいの?」
アミちゃんを助けたい。でも私が手を出したらアミちゃんの理想を壊してしまう。
「……いつも通りでいてください。いつも通りが一番です」
意外にもアミちゃんは笑顔でそう言ってくれた。
「特に何かしなくてもいいんです。ただ、傍にいてくれるだけで、いいんです」
笑顔を崩さずに放たれたその言葉は、難しくて。
「私、アミちゃんと一緒に戦いたいよ。でも、迷惑かな……」
やっと見つけた、私が輝けること。
それが魔物と戦うということ。アミちゃんの助けになること。
それが迷惑になるというのなら、これから私はどうしていけばいいのか。
「そんな、迷惑なんかじゃないですよ。
でも……」
黙りこくってしまったアミちゃん。
「ごめんなさい。上手く言葉に出来ないんです。
明日には上手く伝えられるようにしておきますから、また明日にお願いします」
要約すると、今日は帰れってことかな。
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時