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Episode7-2 満身創痍の彼女 ページ28

「きゃあっ!!」

アミちゃんは悲鳴を上げて、地面にたたきつけられる。

「アミちゃぁんっ!!」

私は声の限り叫ぶが、アミちゃんが地面にたたきつけられた音にかき消された。

我慢できず、魔物とアミちゃんの近くに駆け寄る。

「エアー・キャノン!!」

私が空気砲を魔物に向けようとしたその時。

「ダウンバースト」

突然魔物に風が激突した。竜巻とは違う強さ。いや、竜巻の逆で、上から風が降り注いできたのだ。

魔物はそれに耐えれず、消滅した。
魔物がいなくなって、地面に衝突した風が砂を巻き上げる。すごい威力だ。

「はぁ……はぁ……」

アミちゃんはふらふらと立ち上がり、肩を上下させて息をしている。

「アミちゃん……」

今にも倒れそうなアミちゃんを支える。彼女の体は重かった。

「私………やりましたよ……。やっと………おじいちゃんの技………使える…よう……に」

全てを言い終える前に、彼女は意識を失ってしまった。

「アミちゃん、お疲れ様」

肩にもたれかかった彼女の額に向けて優しく呟く。

「『秘密基地』に戻ろう。アミーゼ嬢を安静にしなければ……」

ロビンさんが神岡神社の裏に回る。その後を私と、私が抱えているアミちゃんが追う。


「開けえぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

体の底から力が湧いてくる。重心が上がってくるにつれ、敷き詰められた砂利が宙に舞う。

やっと、赤いボタンが見えた。ロビンさんが素早くそれを押す。
木の板が跳ね上がり、暗闇へ誘う。

まずロビンさんが下に降り、それから私とアミちゃんが降りる。

フカフカしたクッションが、なんとか私たちを包み込んでくれた。

「きっとこっちだ」

ロビンさんが魔力で、安静にできる場所を探す。

ホールの奥の、狭く長い廊下の先に小部屋があった。そこにはベッドと机、いす、本棚に魔法についての本があった。アミちゃんの部屋らしい。

ベッドにそっとアミちゃんを寝かせる。

「アミちゃん……」

心配で仕方がない。こんなに傷ついて、こんなにヘトヘトになって……。

「大丈夫だよ。アミーゼ嬢はあなたが思っているほど弱くない」

ロビンさんが魔法についての本を眺めながら答えた。

「……アミちゃんは、これからどうなっちゃうんですか?」

「いつも通りさ。エマさんを倒すためにも、魔物を倒す」

そうだ。アミちゃんはこれまでも、自分自身で忘れていても、エマさんを倒すために戦っていた。


「私……怖いんです。アミちゃんが、私のもとから消えていきそうで」

Episode7-3 我慢→←Episode7 一人でも戦えるように



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設定タグ:ファンタジー , オリジナル , 魔法   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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頂志桜(サム)(プロフ) - 怪盗ゆかりんさん» ありがとうございます!地道に、頑張っていきますね! (2016年8月24日 12時) (レス) id: f46217bc92 (このIDを非表示/違反報告)
怪盗ゆかりん - とても良いと思いますよ。オリジナル物では大体ファンタジーじゃない恋愛系が多いのでとても良いと思います。なので頑張ってください。 (2016年8月24日 11時) (レス) id: 9e404a3c93 (このIDを非表示/違反報告)
らむ音(プロフ) - 頂志桜さん» じゃあ、オリジナルで! (2016年2月11日 14時) (レス) id: 38cad45099 (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» オリジナルのほうがいいかなーと。どうでしょうか (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)
頂志桜(プロフ) - らむ音さん» 敬語なのはなんとなく……です。普通のほうがいいかな……? (2016年2月10日 22時) (レス) id: b2ab2df1fb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:頂志桜 | 作成日時:2016年1月25日 1時

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