悪夢の妖精IV (ページ26)

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朝食前の＊Trick＊ページ26

あれから1ヶ月経った。

仲間達はまだファータのことを思い出せていない。

俺は一人甲板で、ファータとの写真を眺めている。

もちろん、そこにファータは写っていない。

…だが、きっと、

そんな思いが、俺の中で湧き上がっていた。

(チップ「大丈夫だよ！しっかり持ってるから！」

トリック「ホントか？雷にビックリして海に落とすんじゃないのか？」)

ふと、あの日の会話が蘇った。

今日は雷が鳴るような天気ではないが、風が強い。

しっかり持っていないと飛ばされてしまうだろう。

…と、思っていたはずなのに。

トリック「あっ…」

風に飛ばされた写真は案の定海に落ち、見せびらかすように表を上にして流されていく。

トリック「なんだよ。俺もお前のこと忘れろって言いたいのか？」

写真に写るファータに問う。

…ファータに？

…写真に、ファータが写っている？

おい。どういうことだ。

「いつまで流される写真見てるのよ。ほら、もうすぐ朝ごはんだよ！」

振り向けばそこにはファータがいて。

おう。と、間の抜けた返事をしてしまう。

ファータ「なによその顔。私に帰ってきて欲しくなかったわけ？」

…"この笑顔には思わず頷いてしまう"なんてセリフもあるが、ここでそれをやったら、

…ビンタ喰らうな。

ブルー「!!レッド!?」

レッド「おっと、ただいま、ブルー！」

朝起きたらリビングでレッドとグリーンが談笑していた。

グリーン「レッドはさっき帰ってきたばかりですよ。さぁ、それより話の続きを！」

ブルー「続き？何の話？」

レッド&グリーン「ファータ/ファータさんの。」

ブルー「ファータ…？ああ、ファータちゃん！」

グリーン「ブルーも思い出したみたいですね。」

ブルー「で、どうなったの？今どこにいるの？」

レッド「それが…ブルーの知らない人のところなんだ…でもファータと彼は幸せに暮らすはずだ。」

ファータ「…返事してから1歩も動いてないけど。」

トリック「…あ？ああ、行くか。」

ファータ「待った。その前に、なんか言うことあるんじゃない？」

トリック「言うこと？…あー、そうだな…」

マンマ「あら、アンタ達ここにいたのかい！早く来ないと冷めちまうよ！」

ファータ「はーい！すぐ行く！…で？」

トリック「で？ってなんだよ笑」

トリック「やっと俺のものだな、レディ？」

そう言って俺たちは…

…あー、なんだ？

…食前のデザートを

ファータ「なに照れてんの？」

…要は口付けを、交わした。