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『いないよ、彼女はいない』
「ほんとに？」
『彼女がいたら他の女の人にお世話になったりしないよ』
「あ、そっか…」
『それに、言ったでしょ？ずっと一緒にいようって』
確かに、彼女がいるならそもそも別の女性の家に住んだりしないか…と納得する
なるほど、と頷けば、彼の手が私の頬に触れてそっと持ち上げ、視線がぶつかり合う
こんなに綺麗な顔を至近距離で見れるなんて眼福…とは思ったけど雰囲気が違うから口に出すのはやめた
「え、っと…」
『俺は、これからもAちゃんとずっと一緒にいたいの。意味、わかる？』
「でも、なんで私なんか…」
『最初はただ、優しい人だなって印象だったんだ。他の人は俺のこと見ないふりして通りすぎていったのに…Aちゃんだけが立ち止まってくれて、優しくしてくれて…ちょっと感動してさ』
そう言いながら彼の頬はどんどん緩んでいく
嬉しそうなその表情にキュンと胸が締め付けられる
「…放っておけなかっただけだよ」
『それでも嬉しかった。でも、本当はすぐに出ていこうと思ったんだ。だけどAちゃんと一緒にいると楽しくて…いつの間にか好きになってた』
「うん…」
『好きだよ、Aちゃん。今は頼りないけど…いつか頼れる男になるから、俺と付き合ってくれませんか』
「…………こんな私で良いなら、彼女にしてほしい…です」
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作者名：優風翔
| 作成日時：2021年8月28日 22時
