戸惑う彼女-5 ページ10
「あらやだ、ちょっとこうしちゃいられないわね!おとーさん!おとーさん!」
「「えっ?!」」
思わずAと声を揃えて驚いてしまった僕。
まるでこれからAのお父さんを呼んでくるかのように、"おとーさん!"を連呼しながら、Aのお母さんは家の中へと入って行ってしまったから。
「ねぇ、もしかして…これって…」
「た、多分お父さん呼びに行ったんだと思う…どうする?逃げる?」
「逃げるはないでしょ。というか、この状況でそんなことできる男いないでしょ」
「う…ごめん」
僕は、一応Aの前では余裕なふりをするけど、内心は全然穏やかじゃなかった。
穏やかどころか、むしろ心臓ばくばくって感じ。
だってだって、これから好きな人のお父さんに挨拶しないといけないかもしれないんだよ?
こういうのって、緊張しない男いるのかな。
まぁ、そうこうして心の冷や汗を掻いているうちに、Aのお母さんは僕たちのところへ戻って来る。
僕はこれからどんなことを言われるんだろうと身構えれば、Aのお母さんはこんなことを言った。
「沖田君、時間があるなら少し上がって行ってね!お父さんちょっと取り乱してるけど気にしないで!」
「えっ、いいんですか?その…お父様がそんなに取り乱した状態で僕がお邪魔しても…」
「いーのいーの!なにしろAが初めて彼氏連れて来たもので、緊張しちゃってるだけだから!」
「別に連れてきたわけじゃないんだけれど…。でも総司さえよければ上がって行ってね?」
瓜二つ、僕好みの顔をしたA親子に、揃って上がって行けと言われれば、もう僕には"家に上がらず帰る"なんて選択肢はあってないようなもの。
「それじゃあ、お言葉に甘えてお邪魔させて頂きます」
僕は清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、A家へと足を進めることになったんだ。
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 応援してます (2020年12月26日 20時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こちらにもコメントくださりありがとうございます。励みになります。 (2020年12月26日 20時) (レス) id: 61fd283962 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵です。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水城 | 作成日時:2020年12月20日 0時