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知らない彼女-7 ページ39

「一君!そんな退屈そうな顔しちゃって。暇、持て余してるんだったらすぐそこの波が出るプールでビーチボールしない?」

「千石…!あんたは、ウォータースライダーを滑りに行ったのではなかったのか」


俺が少し驚いていると、千石は言いにくそうに答える。


「いや、そのつもりだったんだけどさ。一君にお礼言ってなかったなって思って戻って来た」

「お礼?何のだ?」

「うん。さっき心配してくれてたでしょ?なのに私ったら、お礼も言わずに全然可愛くなかったなって…」


さっきの些細な事の礼を言うためだけに戻って来たという千石に、俺はつい小さく笑ってしまった。


「あぁ、さっきのことか。あれは俺が勝手に心配しただけだ。慣れっこのあんたにはいらぬ心配だったのだろう?」


そんな俺の言葉に千石は、「そ、そうだよ。いらない心配だったんだよ!けど人の厚意にはちゃんとお礼言っとかないとと思ったの…」と気まずそうにそっぽを向いた。


「よかったのか。スライダー、滑りたかったのだろう?」

「いいよ。また後で滑りに行くし。それに、こんな家族や友達や恋人たちの声で賑わってる中で一君一人だなんて、なんだか可哀そうな人みたいじゃない?」

「そんなことはないと思うが」


そっぽを向いたかと思えば、今度は俺を小馬鹿にしたようにケラケラと笑う千石。

まったく…感情の変化がいちいち忙しい奴だ。



「どうする?ビーチボールで遊ぶ?私、結構強いけど」

「いや、それはまた後でにしよう。今は平助たちの無様な着水姿を見るとしよう」

「うわ、なんていう楽しみ方しようとしてんの、一君」

「そうだろうか」

「そうだよ!」


口先ではそう言いながらも、俺が千石の誘いを断ったのには理由がある。

この際だ。一体どうして千石は同性のAのことを好きになったのか、ということを聞いてみたいと思っていた。


「じゃあ、私も一君と一緒に皆が降りてくるの待ってるとしますか」


俺の気持ちを知ってか知らずか、千石もそう言って俺の隣へと腰を下ろす。

だから俺は、多少気が引けるものの、千石の気持ちの本当のところを確かめてみようと口を開いた。

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設定タグ:薄桜鬼 , 夢小説 , 沖田総司   
作品ジャンル:恋愛
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 応援してます (2020年12月26日 20時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こちらにもコメントくださりありがとうございます。励みになります。 (2020年12月26日 20時) (レス) id: 61fd283962 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵です。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水城 | 作成日時:2020年12月20日 0時

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