単純な彼女-3 ページ29
side―沖田
やった!ついに明日から夏休みだ!
皆でAのクラスに集まって明日の大まかな打ち合わせをした後、明日が楽しみで逸る気持ちを隠しきれない中、Aと手を繋いで帰路につく。
平助の予定に合わせようってことになっていたプールの話は、明日が丁度部活も特別補習も夏期講習もないというわけで決行されることになったんだ。
そうしたら、どうしてだかちゃっかり千石凛も明日のプールに参加することになっちゃってさ。
僕は最初のほうこそ不満たらたらだった。
だってそうでしょ?せっかくAの可愛い水着姿を見られるって言うのに、その姿を舐めるように見ようものなら絶対に邪魔されるに決まってるんだから。
けれど一君が、反対どころか千石凛の参加推進派に回ったんだ。
多数決の原理ってやつで僕の不満は聞き入れられなかった。
せめてAが反対してくれればよかったのに、Aってば千石凛に懐かれてちょっと嬉しそうにしてるし。
平助にも念の為確認したら、"いいんじゃねーの?大勢のほうが楽しいじゃん"って。
何も知らないからそういうことが言えちゃうんだよ、平助は。
だけど…
僕が千石凛のことをどう思っているかは関係なく、Aが女友達と一緒にいるところを見るのはちょっと珍しいなとは思った。
僕と付き合ってるせいなのか、クラスではもっぱら一君といることが多いらしい。
今のクラスは理系クラスということもあって女の子が少なかったっていうのもあるのかな。
だからってわけでもないけど、Aにもたまには女の子同士の付き合いっていうかそういうのもさせてあげるべきなのかなってことで、なんだかんだで千石凛の参加に賛成してあげたんだよね。心のなかで。
でも、さ。
「ねぇ、A。最近さ、千石凛とのスキンシップが多すぎるんじゃないの」
「え?そう?」
さっきの打ち合わせのときだってそうだった。
僕と平助が8組の教室に入るなり、千石凛はこれ見よがしにAにベタベタベタベタ。
それこそまるで僕に見せつけているかのようにさ。
Aに後ろから抱きついたり、Aの綺麗な長い髪の毛を指でくるくると弄って遊んでみたり、膝の上に座らせてみたり。
しかも、Aも満更でもなさそうなところがなんとも言えない。
男だったら激怒するとこなんだけど、相手が女なだけにどういった反応をしたらいいか分からないから、ただ拗ねることしかできないってわけ。
僕、可哀想じゃない?
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 応援してます (2020年12月26日 20時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こちらにもコメントくださりありがとうございます。励みになります。 (2020年12月26日 20時) (レス) id: 61fd283962 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵です。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水城 | 作成日時:2020年12月20日 0時