戸惑う彼女-6 ページ11
side―A
わー、わー!
どうしよう、どうしよう!
ついつい、お母さんの勢いに乗せられて、総司に"上がって行ってね?"なんて言ってしまったわけだけど。
絶対に、総司、心の準備できてなかったよね?
やっぱり私が庇ってあげるべきだったのかも!
総司はこれから用事があるんだとか、適当に言い訳付けて。
「総司、大丈夫だった…?これから用事あるんじゃなかったけ?」
私は今更ながら、家に上がろうとする総司にさりげなくフォローを入れて見るも、「この後、遊びに行こうとしてたくらいに暇なのは、Aが一番よく知ってるでしょ?」なんて笑顔で交わされる。
これは…総司なりに覚悟をしたと受け取っていいのかな。
だったら、私が今更とやかく言うべきことではないのかも。
「ささ、どうぞ上がって上がって!スリッパはこれ使ってね」
「どうも恐れ入ります」
「それにしても本当にカッコイイわね、沖田君。やっぱり、すっごくモテるんじゃないの?」
「いえ、全然そんなことないですよ。小母様も、Aと姉妹に見えてしまうほど若くて綺麗ですね」
「まぁ、嬉しい!おだてても何も出ないわよ?」
「いえ、僕は本当にそう思ったんです」
お母さんと世間話をしている総司を見て、私が思ったこと。
この人本当に総司?
だって、総司がこんな敬語とかお世辞とか言っているところ、一度も見たことなかったから。
まあ、敬語は先生とかには使ってるけど、こんなに畏まった敬語を遣うところを見るのは初めてだよ。
でもやっぱり総司はすごい。
もうすっかりお母さんとは打ち解けてしまった。
これはもう完全に、総司はお母さんに気に入られてしまったと思う。
二人の会話を聞きながら、私とお母さんと総司の3人は、恐らくお父さんが待っているであろうリビングへと足を進める。
そして、一番先頭に立っていた私が、その部屋のドアを開く。
するとそこには、ソファに座って新聞を広げているお父さんの姿があった。
「君かね、Aと付き合っているという男は」
「お、お父さん?!」
リビングに入ってお父さんの姿を確認するなり、私は思わず驚きの声を上げてしまった。
それは何故かと言うと、主にお父さんの見た目だった。
お父さんはいつも、仕事がお休みの日は髪の毛なんて整えてないし、服装は普段着で過ごしている。
それが今は、カッターシャツに余所行き用のスラックスを穿いて、おまけに髪型までしっかりと整えて。
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斎藤ようこちゃん(プロフ) - 応援してます (2020年12月26日 20時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
水城(プロフ) - 斎藤ようこちゃんさん» こちらにもコメントくださりありがとうございます。励みになります。 (2020年12月26日 20時) (レス) id: 61fd283962 (このIDを非表示/違反報告)
斎藤ようこちゃん(プロフ) - 素敵です。 (2020年12月26日 13時) (レス) id: e53507092f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水城 | 作成日時:2020年12月20日 0時