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「あ、迷子。」
二人なにも言えないまま、ラッココーナーの前で立っていた。
彼は恥ずかしがっていて、私は彼のかっこよさにフリーズしていて。
でもそんな中、大毅は振り返って私にまた「迷子」と口にした。
『え、なに。またさっきの話?』
あんなかっこいいこと言った後、またバカにするの?
え?
「ちゃう。あっちにほんまの迷子がおる。」
彼が指で指す真蛸の水槽の方を見ると、確かに小さい男の子が一人不安そうな顔でうろついていた。
『あ、ちょ、待って。』
先にあの子の方へと向かった大毅を追いかけた。
男の子は幼稚園児ぐらいで、大きめには涙がたっぷりと溜めてある。
そのまま動いていたらポロって落ちてきそう。
「大丈夫か?君、迷子?」
男の子の目線へとしゃがみ、優しい声でそう聞く大毅。
「ママ…」
「ママと一緒やったん?」
「ママ〜泣」
「あ〜大丈夫大丈夫。泣かんといて。おじちゃんがママを探したるから、な?」
まだおじちゃんという年でもないのに、大毅は男の子を落ち着かせるために背中を摩って笑った。
『ねぇ、見て。これ、何かわかる?』
私も何かしないとと思い、あるものを鞄から取り出した。
『ほら、これ。わかるかな?』
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「……まっヒックっまめ、まめゴマ」
取り出したのはあの有名アザラシキャラがモチーフのシャーペン。
飴ちゃんとか持ってないし、一番興味がありそうなものはこれしかない。
お願い、まめゴマだと、せめてアザラシだとわかってくれって祈りながら見せたら、彼は涙が溢れてるまま答えてくれた。
このままだとカバンの中にある動物が付いているものを全てを出して当てさせよう。
『お〜!すごい、まめゴマ知ってるんだ。じゃあ次、これ』
「んーっヒックっクマ?」
顔はぐちゃぐちゃになっているのに必死に答えてくれるところが可愛い。
『正解。今度のこれはちょっと難しいよ…じゃん!これはなんでしょうか?』
「……金魚?」
『残念!セイウチでした〜。セイウチ知ってる?』
「知っとる!ママとパパといっしょにみたことある!」
『へ〜そうなんだ!』
嬉しそうにママとパパのことを話す男の子はあって初めて笑顔を見せた。
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鳥(プロフ) - 虹と嵐さん» 更新はちょっと遅くなるかもしれませんが、二人の未来の話、書きます!本編を最後まで読んでくださって本当にありがとうございました! (2018年3月25日 8時) (レス) id: 793a413963 (このIDを非表示/違反報告)
鳥(プロフ) - 七橋にさん» コメントありがとうございます!新婚旅行や二人の未来の話を書く予定です!楽しみにしてください! (2018年3月25日 8時) (レス) id: 793a413963 (このIDを非表示/違反報告)
鳥(プロフ) - ペン太郎さん» 感動したなんて、嬉しい言葉ありがとうございます!しげこたですね…いろいろとアイディアが浮かんできました。近頃新作出すかもしれないので楽しみにしてください。 (2018年3月25日 8時) (レス) id: 793a413963 (このIDを非表示/違反報告)
虹と嵐 - とても面白くて、最後はお父さんが認めてくれてよかった〜と思いました!もしよければその後を見てみたいと思いました!! (2018年3月23日 22時) (レス) id: f64e7eafe7 (このIDを非表示/違反報告)
七橋に - 結婚したその後の話がみたいです! (2018年3月21日 15時) (レス) id: 391a8c7176 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鳥 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/personal.php?t=kawaieri612
作成日時:2018年2月19日 21時