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昔から、自分で何かを決める事が苦手だったと思う。

高校で地元を出たのも、大学も、世一さんのことも。
自分の意見を持たなかった私は、思えばいつも周りに流されて生きてきた。

やりたい事も目指す夢も無い私と、どこまでもサッカーが好きで夢を追い続ける世一さん。
私達はまるで正反対で、私に足りないものを彼は当然のように持っていて。その姿はあまりにも眩しすぎた。

手を、伸ばさずにはいられなかった。



「Aさんはどうしたいの?」

「……なに、が」

「俺の権利とかそーゆうの関係なく。Aさんの気持ちが知りたい」



唐突に投げかけられた言葉に顔が歪む。
取り繕う余裕すらもなかった。



「……そんなの、知ってどうするんですか」

「俺にとっては1番大事なことだけど」



声色はいつも通り優しいのに、はっきりとした言葉には追い詰められているようにさえ感じる。
このまま曖昧に済ませようとする私を、世一さんは決して許さない。



「別に今すぐ答えろとは言わないけど……やっぱりちゃんと俺のこと考えてて欲しいから」

「……考えて、もし嫌ってなったら?」

「……困る」

「困る……」



答えにもなってない返事。
だけど真面目な顔をして言う世一さんにふつふつと笑いが込み上げてきて、つられたように彼の表情も和らいだ。



「……大丈夫。Aさんは俺のこと嫌いにならないよ」

「何を根拠に……」

「わりと自信ある」

「……傲慢」

「何とでも」



青い瞳がきらりとその色を主張して、開かれた口元は薄く弧を描く。その視線には、言葉には、迷いなんて一切ない。



「ぜってぇ俺を選ばせてやるから」



お人好しのくせして随分わがままな物言い。
でも、彼はそんな人だった。
そんな潔世一(エゴイスト)だから、ここまで惹かれた。

失くしてから気付くようではどうしようもないけど、きっと忘れることもできないだろう。
世一さんへと伸ばした手は空を切って、いつの間にか目の前には私の本来帰るべきマンションの一室があった。



『Aさんはどうしたいの?』



……彼がエゴイストであるのなら、これが私の、世一さんへの気持ち(エゴ)なのかもしれない。
答えはとっくに出ていた。


私はやっぱり、彼を諦めることは出来ない。


鎖が解けたような解放感にふっと心が軽くなる。
勢いのままにドアへと伸ばしかけた手を引っ込め踵を返した。
否、返そうとした。



「……A?」



その声にまた、動けなくなる。

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YUY - 久しぶりに見たけどやっぱめちゃすち……🫶 (12月10日 1時) (レス) @page43 id: 2b504e2cbc (このIDを非表示/違反報告)
放浪者の神の目になりたい(プロフ) - 潔くんの小説…!!ありがとうございます…応援してます…!! (9月29日 22時) (レス) id: 8d6a7142fc (このIDを非表示/違反報告)
アアアアア??! - 凄く好きです! (9月8日 21時) (レス) @page25 id: fbc26f140f (このIDを非表示/違反報告)
りす(プロフ) - うわぁ、すっごく好きです、。めっちゃ気持ち悪い顔しながら見てます。めっちゃ好きなんで頑張ってください! (8月22日 22時) (レス) @page42 id: 6cf6d64f42 (このIDを非表示/違反報告)
YUY - んんんん気になるなあああ続きがあああすごくいいところで切ってくださる…あいらーびゅー… (5月7日 22時) (レス) @page37 id: 2b504e2cbc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瀬川 | 作成日時:2023年2月5日 11時

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