過去最大のピンチ。 ページ24
私達が当てもなく電車に乗ると
彼女も同じ電車に乗り込んで来た。
すると私のスマホにLINEの着信。
横に座っている千代からだ。
”とりあえず、こっちで会話で”
”ＯＫ、やっぱり乗ってきたね”
”これからどうする？”
”彼女を撒きたいよね”
”東京駅行ってタクシーで撒く？”
”宮野さんが言ってたやつだね”
以前、宮野さんから
芸能人は追いかけられた時に
そうする人がいるらしいと聞いた。
このタクシー作戦で重要なのが相手との距離で
離れていればいるほどタクシー乗り場で
自分と相手の間に他のお客さんが並ぶので
「あのタクシーを追いかけて」と
言うのが難しくなり相手を撒けるらしい。
でも、自分が実行するとは思わなかった。
それから私と千代は東京駅で向かい、
買物をしながら彼女との距離を測り、
駅の改札を出てタクシー乗り場小走りで向かった。
乗り場に着いて彼女を確認すると、
私達と彼女の間には３組ほどのお客さんがいた。
これで大丈夫だろう。
私達はタクシーに乗り込むと千代は
「ガーデンロイヤルホテルまでお願いします」と
運転手に告げたので
「何か用事あるの？」と私が聞くと
「家に帰っても、彼女は追いかけて来るよ。
だからとりあえずカフェでお茶して
もし彼女が追いかけてきたらまた考えよう」と千代。
ホテルに着いた私達はお茶をしながら
倉城さんを探すけど見当たらなかったので
どうやら無事に撒けたようだ。
「はぁ〜疲れた」
「これは２人に連絡しないとね」
「そうだね、倉城さんはやばすぎる」
私達は過去最大の危機をなんとか乗り切った。
でもすでに時刻は２１時を回っていたので
周囲を気にしながら私はユノに電話をする。
「今大丈夫？」
「どうした？」
「実は・・・」と倉城さんの事を話す。
「電話切らないでそのまま待ってて！」とユノ。
１分ほどして
「もしもし、A？
今どこにいる？」と聞かれたので
「ガーデンロイヤルホテルのカフェ」と答えると
「今から迎えに行くから待って」と電話は切れた。
私達は迎えを待つことにした。
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作者名：kawaetsu
| 作成日時：2016年5月20日 17時
