彼女の家。 （yn ページ8
２人の間に
何とも言えない空気が漂う。
Aが突然の事だったので
千代と通話しっぱなしだったようで
慌てた様子で返事をしている。
俺はそれを見ながらさっきのキスを思い出す。
とっさの事とはいえいきなりキスをした
俺の事をどう思ったのだろう。
どう、声を掛けたら良いんだろうと
考えていると
千代と通話が終わった彼女は
「落ち着くまで家に来ませんか？」と言うので
俺はそれに甘えることにした。
家に着くと
「ちょっと片づけるので
そこで待っててください！」と彼女。
俺は玄関で待つ。
数分すると「狭いですけどどうぞ」とA。
「遅くにごめんね、お邪魔します。」
「コーヒーしかないけどいい？」
「うん、ありがとう」
彼女がコーヒーを一口飲み
「やっぱり有名人は大変だね」と言う。
「まぁ、それだけみんなに
知ってもらえてるって事だから」と言った後、
思い切って
「さっきはごめん、嫌だったよね」と言うと
Aは
「お詫びに今度何か奢ってもらおうかなぁ〜」と
おどけながら許してくれたので
「なんでも奢るよ！何がいい？」と
俺も空気を変えるように言った。
２人で煙草を吸っていると
Aに千代達からのLINE。
暫く会話をした後、
今度はチャンミンから画像が送られて来た。
俺の目撃情報のTwitterだった。
それを見たAは
「迎えに来てもらわなければ
こんな事にならなかったのにねごめん」と言う。
俺は今日千代に聞いた彼女の過去を思い出す。
「Aが謝ることないよ
俺が勝手に迎えにいったんだから」と
彼女の頭をなでた。
安心したようにAが目を細める。
俺は彼女のその表情に心を奪われた。
「そろそろ帰るよ」と玄関を出ると
若い女性の声が聞こえ
玄関に慌てて入り聞き耳を立てる。
まだ、ファンが探している様だ。
Aに「もう少しいれば？」と言われ、
その提案をありがたく受け入れた。
「長期戦になりそうだね」と言い
Aはコンビニに買い物に出かけた。
俺は彼女の部屋でベットにもたれかかり、
彼女の事を考えているうちに眠てしまった。
夜中に目が覚めると部屋の電気は消され
俺に毛布が掛かっていた。
彼女が掛けてくれたのだろう。
Aはベットの反対側で小さくなって寝ていた。
俺は彼女の寝顔をみてそれからまた寝た。
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作者名：kawaetsu
| 作成日時：2016年5月7日 15時
