緊急事態。 ページ4
お喋りに花が咲き
時計を見れば22時を回っていたので
帰る支度をしてお店を出たところで
「ヒョン、
今日は千代の所に泊ります」とチャンミン。
「分かった。
遅刻しないように帰ってこいよ」
「分かってますよ!」とチャンミン。
「A、また今度ね!
今日は楽しかった!」と千代は
チャンミンと仲良く腕を組みながらご機嫌。
「うん、私も楽しかった!また今度ね!」と
2人の姿を見送りながら思わず
「いいなぁ、凄く幸せそうで」私は呟く。
「俺たちも帰ろう、家まで送って行くよ」とユノさん。
「家まですぐだから大丈夫。
大通りまで送っていくよ」と断ると
「いや、送っていく。」と結局、
私が家まで送って貰う事になった。
ユノさんの提案で少し遠回りをして
住宅街の静かな道を2人で並んで歩く。
”このまま時間が止まってしまえばいいのに”
と私は思った。
家までもう少しの所で私達のスマホがが同時に鳴り、
お互い目配せして電話を取る。
私は千代からだった。
「今どこにいる?ユノは一緒?」
「送って貰ってるよ」
「傍にだれも居ない?」
「いないよ」と周囲を見ながら伝える。
「落ち着いて聞いてね
ユノがファンに目撃されてたみたい。」と
千代が声をひそめる。
「え?どうして分かったの?」
「コンビニに寄り道したら
入り口で女子高生が話してた」
「チャンミンは大丈夫?」
「うん、
別々に家に向かってるから大丈夫だと思う。」
「そう、良かった。」
そんな話をしてると
通りの向こうから若い女性の
「でもさ、
ユンホは何しにきてるんだろ?」
「芸能人ってこの辺住んでたっけ?」と
大きな声が聞こえてきた。
どんどんこちらに近づいて来る。
まずい、どうしよう・・・私は焦る。
多分チャンミンと同じ件で電話していた彼も
彼女達の存在に気がついた。
すると「ごめん、ちょっとだけ我慢して」と
突然彼は私にキスをした。
私の体温が跳ね上がる。
彼女達は「ほらぁ〜違うよ」
「道端であんなことするわけないもん」と
笑いながら通り過ぎる。
なんとかやり過ごせた。
でも、私達の間には何とも言えない空気が漂う。
その後、繋ぎっぱなしだった通話を思い出して
慌ててスマホを耳に当てると。
「とりあえず緊急事態だから落ち着くまで
ユノをAの家に匿ってあげて」と千代。
私達は急いで自宅に向かった。
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作者名:kawaetsu | 作成日時:2016年5月7日 15時