太宰治からのメール通知が止まらない【文スト】【太宰治】【束縛】 (ページ3)

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三件目　[誤字修正済] ページ3

経理部に足を運び昼に取引先と行った料亭の領収書と精算書を提出する。そういえば最近少し外食が多いなと自分のお腹を眺める。治が幾ら綺麗な身体だと言っても体型は一応気にするのである。
つい先日行った定食屋の領収書は治に提出した。勿論確認の為だ。会社のそれと見た目は似ているが内容は言うまでもない。根本的に違う所は後日精算されたお金が返ってくるか返ってこないか。そこは大きな違いだろう。――いや、私の好きなものを領収書から判断し買って来るところはもしかしたら精算されて返ってきたと考えても良いかもしれない。治とは銀行口座が同じなので最早どっちの稼いだ物かは分からないが治が払ってくれたと考えよう。
住居も口座も共用なのに未だに籍を入れてないのを不思議に思っただろう。理由は聞けば単純で私が躊躇っているからである。そりゃあ躊躇うだろう。あの治(ヤンデレ)の事である、籍なんて入れた暁には家から出れない未来が容易に想像できてしまう。他にも理由はあるのだが。
奇遇な事にこの前後輩が相談した内容は『束縛が激しい彼氏に籍を入れて欲しいと言われているのだがどうすれば良いか悩んでいる』という内容だった。情があるなら籍を入れずに様子を見た方が良い、理由は親が反対してるなり仕事の区切りがついたらなり沢山あるから、と答えたが自分がそれに一番悩んでいるのだと一人頭を抱えた。

帰宅すると珍しく太宰の方が遅い。暇なのと愚痴が積もってきていたので友人に通話しようとメールを送り通話すること小一時間。
内容は下らないもので、相変わらずの執着度合いの報告兼相談である。こういった内容は楽しく語るに限る。深刻に捉えれば捉えるほどダメージが蓄積していくのだ。

気が付けば不在着信が6件。勿論メンヘラ――つまり彼氏からである。
出なかったとしてもせいぜい4件だろう。一時間足らずで6件も掛けるか？頭が痛い。
極め付きは【話がしたい。例の件で。土曜日の午後四時から開けておいてくれ給え】とのメール。
嗚呼、とうとうか。

できたら穏便に片付けたいその問題に治が気付くのは時間の問題であったのである。
ただでさえ今週は休日出勤が確約されているのにまた頭が痛い用事が出来た。
鬱憤を晴らすべく私は猛然と家に持ち帰った仕事を片付け始めた。