一件目 ページ1
残業の帰り道、今日も私は送られてくる大量のメールをみて辟易とした。
差出人は彼氏こと太宰治だ。
なぜ彼氏からの
一に「電話して」
二に「なんで返信しないのだい?」
三に「心配なのだよ、私は」
止めに「私にはAの安全を守る義務があると周りから言われているんだ分かってくれ給え」
お分かり頂けただろうか。
武装探偵社太宰治。その容姿端麗なその包帯男はメンヘラ――
このメールを見ながら私は良く思うのだ。いやほぼ毎日思っている。そう、即ち
「治の事を武装探偵社に相談してみるのもいいかもしれない。依頼金とメール履歴を携え束縛彼氏をなんとかしてほしいと。慣れているだろう探偵の業務とは本来そんなものだ」もはや情もくそもなのである。私は自由であってなんぼなのだ。束縛して手元に置いておけるものではない。そんなことも分からないのだろうか、あの横浜屈指の頭脳は。何のためにあるのだか。
なぜ別れないのか。
それは私にも分からない、おそらくこのカップル屈指の謎であろう。私が治の愚痴を零さない日はないのに未だ別れる決意が付かないのだ。別れたときにメンヘラからヤンデレへと
まぁともかくそんな理由をうだうだかれこれ三年捏ね繰り回し未だに別れてないのである。
別れたくないのは私もなのかもしれない。そう思う度に背筋がゾッとする思いをする。
ピロン。またそんな音とともにポケットに入れた携帯が振動する。
【退社したのかい?早く連絡をくれ給え】はぁ、とため息をつき連絡先「メンヘラ」を選択し電話を掛ける。ワンコールするかしないかのうちに出るから流石だ。その電話を取る技術、仕事に活かせばいいのに。ひょんなことで知り合い太宰治被害者同盟を組んだよく酒を飲みに行く治の仕事の相方こと国木田の顔を思い浮かべながら治の「迎えに行くよ」という声を聞いた。
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菁蓮(プロフ) - 更新長らくしてなくて申し訳ないです。受験期で小説を書く余裕が皆無なのが原因です。来年の春を気長にお待ちいただけると幸いです…… (2022年9月18日 16時) (レス) @page15 id: 888805e83c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:菁蓮 | 作成日時:2020年10月22日 21時