カラスが五羽 ページ5
───だが、それは少女に拒まれてしまってかなわなかったが。
腕を捕まれ、また無理矢理ずんずん歩き出す。
｢いた……！ おい、離せよ｣
治崎も少女も素足だ。治崎に関しては白いTシャツ一枚に、短パンだ。これに素足である。どう見てもこの時期に外出するような格好ではない。
だが少女は狭いケージにこそいたが───身なりはわりときちんとしている。
あまり派手ではないが、美しい和服を着崩したような姿で、振り袖がまるで妖精かなんかの羽のようだ。
顔の造形も普通にきれいで、本当、なぜケージにいたのか解らない。
解らないが。
｢(勘弁してほしいな……)｣
厄介な奴に手を出してしまったと、治崎は非常に後悔していた。
施設を脱走のように抜け出したのだから、凄い騒ぎになるかもしれない。
｢いや、俺なんかじゃ……騒ぎになんて｣
騒ぎになんてならない。
すぐにそう思い直した。だが、まあ多少は問題になるだろう。やはり面倒なのは嫌だった。
｢あのさ、俺……帰りたい｣
｢どこに？ かいくんかえるばしょあるの？｣
そんな少女の回答に、また治崎はかちんと来る。
悪かったな、帰る家もなくて！と激憤しそうになるのをぐっと堪えた。──なんだか｢家族もいないのか｣と馬鹿にされた気がしたのだ。
我慢したら、反動が返って来る見たいに……胸がぎゅうっと苦しくなってきた。目頭が熱い。
もう嫌だ。
ぽつりとそう声にならない声で呟く。少女は相変わらず何も言わなかった。
｢かいくんはすこしだけどうぶつみたい！！｣
また訳の解らない言葉が来た。治崎はぐっと目元を手首で拭きながら｢人間だから｣と冷たく答える。
｢なんだか……からす……そう！ からすにそっくりだよかいくん！！｣
残飯や死骸を漁る害鳥"烏"。
治崎は｢そう｣とだけ応えた。
｢あ、でもわたしからすきらいなんだ。すごくらんぼうだからさ！！ ね、かいくんもそうおもわない？｣
｢知らないよ｣
話すのも疲れてきて、ただただ彼女の引っ張る通りに歩き続けた。
少女はにこにこ笑いながら｢でも！｣と声を張り上げる。
｢わたしかいくんにひとめぼれしたから、かいくんみたいなからすとならいっしょにいれるな！｣
｢……ひ、一目惚れ？｣
思わず、また思考回路が止まり掛けた。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 森田菜々子さん» ありがとうございます！一重に皆様のお陰です！この結果に傲らず、頑張っていきたいと思います！！ (2017年11月27日 5時) (携帯から) (
レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
森田菜々子 - かぁびぃさん、ランキング最高４１位おめでとうございます。 (2017年11月26日 20時) (レス) id: 52dd8ac394 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 唐揚げちゃんさん» ありがとうございます！！常に頭の中には妄想と想像でいっぱいなので嬉しいです(笑)これからの展開が楽しみと言ってもらえて、最高に励みになります！短いお話になると思いますが、ぜひ気ままにお楽しみください！ (2017年11月26日 18時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
唐揚げちゃん - かぁびぃさんはどうしてこんなにすぐ面白い作品を作れるのか驚きです(゜д゜) これからの展開が楽しみです！頑張ってください！ (2017年11月26日 17時) (レス) id: a1d6c9a5fb (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - クロスさん» ｢解せぬ｣──そんな治崎さんが目に浮かぶようです(笑) 音本さんの作品ではありがとうございました！！書きたい話がたくさんある駄作者さんです＼(^o^)／早くも新作に来てくれて本当に感謝です！！ (2017年11月26日 14時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2017年11月26日 12時
