０５：本物の窃盗犯 ページ7
この日は、やたら仕事が長引いた。
朝、日が昇る前からバタバタと家を出て──そのまま夜遅くまで事務所の中に缶詰め状態だったのだ。
国選弁護人としてヴィランサイドの弁護を任せられたのだが、その打ち合わせで随分頭を悩ませた。
国選で選ばれたのもあり、あまり乗り気ではなかったが仕事なのでそこは仕方がない。
その打ち合わせの情報を纏めていたらすっかり夜も更け込んでいた、と言うわけである。
｢……｣脳裏を窃野の姿が過って行った。そう言えば、今日は会っていない。
自らがいなくなった家の扉をどんどん叩く彼の姿が安易に想像できるようで、Aは小さく笑った。
早く帰らなければと簡単に、だが大事な書類の入った革のバッグをかつぎ上げ急ぎで事務所を出た。殺風景なレイアウトの事務所が扉の向こうに姿を消す。
外はずいぶん寒かった。吐く息が白くなるほどで、改めてそんな季節かと思い直すほど。
｢…………｣
黒いスーツに身を包んだ身体が、街灯の少ない夜の景色に溶けてしまっている。Aはそう思った。
自らの息で曇った眼鏡を拭くために、一度自らの目からそれを外す。眼鏡を掛けずに見た夜空は星が一つもなかった。
────そして、それがいけなかったのだ。
突然身体に凄い振動が走る。ドン！ と重たい何かがぶつかってきたような、そんな振動だ。
肩が大きく揺れて身体が道の真ん中に投げ出される。何事かと先ほどまで自分がいた場所を見ると、そこには見慣れぬ男性が立っていた。
彼の手には、Aのバッグが握られている。──ぶつかってきた時に奪ったのだろう。
Aも唖然としたが、彼もまた何が起きたか解らないと言いたげにそこに立っている。いや、『本当にやったのか』と言いたげな顔にも見えなくはない。
Aが眼鏡を取ってすぐの犯行であった。眼鏡に意識を向けていたため、Aも反応が遅れてしまったのだろう。
｢返しなさい｣
先に我に返ったAが、目の前の男に向かってそう言った。
その言葉に弾かれるようにして、男もはっと我に返る。
そして、バッグを握り締めたまま暗い道の向こうに走り出したのだ。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - プリン★スポ隊副隊長兼信者兼かぁびぃ(駄作者)愛し隊さん» スポンジ作品ではいつも世話になっております……！！＼(^o^)／名前が……！！その、本気で駄作者が調子に乗ってしまいそうなお名前になっていて、喜びで舞い上がりそうに……！！(半狂乱) (2018年1月14日 23時) (携帯から) (
レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
プリン★スポ隊副隊長兼信者兼かぁびぃ(駄作者)愛し隊 - こちらこそ！こんな素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます！！あ！ちなみに、元 プリンです！ (2018年1月14日 22時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - プリンさん» コメントありがとうございます！＼(^o^)／いつもギャグ作品にて暖かな言葉を掛けて下さって頂き、本当に励まされております……！いい作品と言って頂けて光栄です！かなり堅苦しく読みにくい文章ですが、これからも宜しくお願いします＼(^o^)／ (2018年1月7日 10時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - なんていい作品なんだ・・！あなたは何でそんなにいい作品が作れるんだああああああ！！すげぇ(キラキラ (2018年1月6日 23時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 令さん» コメントありがとうございます！以前からずっと気になっていた男主なるものに挑戦して見たのですが、やはり慣れない世界でなかなか難しいです(T-T)話も終盤に差し掛かりましたが、これからも気ままにお楽しみ下さればと思います！いつも暖かなコメントありがとうございます！ (2018年1月3日 15時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2017年12月9日 12時
