◇ ページ6
──だが、スケジュールは机の上に置かれることはなかった。
｢む｣
｢怖がりなんだ。アンタ｣
意外だと言わんばかりに窃野がそう笑う。やっとこの男の弱味を見付けれたと、そんな風に。
｢個性を使ったか｣とAは窃野に言った。
仕事の関係で、彼の個性は把握していたのですぐに理解できた。
｢女と関わったことないなんて、男としてどうだよ？ まさか未体験か？｣
｢答える義務を感じない。良いから早くそれを返しなさい｣
だが窃野はパラパラと見てるのか見てないのか解らないほど雑にスケジュールを捲る。
そして｢魔法使いにでもなる気か？｣と呟いた。
窃野から見れば、女性との交流が全く無いのは有り得ないしカッコ悪い。と思っている節があった。
だがAは、その合理的な概念から交流は不必要だと認識している。
その考えの片隅に、僅かな恐怖があっただけだった。
｢でも、捨てられて空飛んだんだよなあ｣
窃野はスケジュールをAに投げて返した。
それは机で一度跳ねて、Aの前に滑り込んでくる。
Aは何も言わなかった。
｢ズルいよなァ。こんな危ない仕事は難なくこなすのに、幸せになろうとはしないんだからさ｣
その窃野の言葉は、何か胸に刺さるものがあった。
次は、自分の地雷を逆撫でされているような気さえした。
｢何処に落とし穴があるかわかってる見たいでよ。やる前から怖いことを知っていて、何て言うか……。
……何だろうな。俺、何て言いたいんだろう｣
そう窃野は自らの言葉の引き出しの少なさを嘆く。
今の気持ちを、きちんと言葉に当て嵌める事が出来ないように。
しかしAならば恐らく言葉にできた。彼は仕事柄、言葉はたくさん知っているのだから。
｢……だが、皮肉だな。
結局どちらも幸せではないらしい｣
Aは言葉に表せても、言おうとはしない。
自分の気持ちを表すのは怖いことだ。だからやらない。
だからこそ、一生懸命カタチにしようとした窃野の方が輝いて見えた。
やり方はどうあれ、彼は自らの存在意義を見出だしているのだから。
───何と無く40年生きてきた自分が、如何に空っぽだったか気付いた気がした。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - プリン★スポ隊副隊長兼信者兼かぁびぃ(駄作者)愛し隊さん» スポンジ作品ではいつも世話になっております……！！＼(^o^)／名前が……！！その、本気で駄作者が調子に乗ってしまいそうなお名前になっていて、喜びで舞い上がりそうに……！！(半狂乱) (2018年1月14日 23時) (携帯から) (
レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
プリン★スポ隊副隊長兼信者兼かぁびぃ(駄作者)愛し隊 - こちらこそ！こんな素晴らしい作品を作っていただきありがとうございます！！あ！ちなみに、元 プリンです！ (2018年1月14日 22時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - プリンさん» コメントありがとうございます！＼(^o^)／いつもギャグ作品にて暖かな言葉を掛けて下さって頂き、本当に励まされております……！いい作品と言って頂けて光栄です！かなり堅苦しく読みにくい文章ですが、これからも宜しくお願いします＼(^o^)／ (2018年1月7日 10時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
プリン - なんていい作品なんだ・・！あなたは何でそんなにいい作品が作れるんだああああああ！！すげぇ(キラキラ (2018年1月6日 23時) (レス) id: 4588ab3ba5 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 令さん» コメントありがとうございます！以前からずっと気になっていた男主なるものに挑戦して見たのですが、やはり慣れない世界でなかなか難しいです(T-T)話も終盤に差し掛かりましたが、これからも気ままにお楽しみ下さればと思います！いつも暖かなコメントありがとうございます！ (2018年1月3日 15時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2017年12月9日 12時
