４月：それも嘘なら、素敵だったのに ページ4
頭を捻ってネタを考える４月１日。
───エイプリルフール。つまり嘘を吐いても許される特別な日だ。
そろそろオーバーホールが来る頃だろうとAはにまにま笑う。
なぜ絶対に彼が来ると言い切れるのか──それは、すでに彼女の敷いた嘘が下地にあるからだ。
午後の3時を回った頃だろうか、Aの家の扉をドンドン叩く音が響いた。
Aは笑いそうになるのを堪えながら｢どなた？｣と答える。
………本当は、誰が来たのか理解していたのだが。
｢おい。どういうつもりだ｣
扉を開けると、そこには如何にも不機嫌そうな顔をしたオーバーホールが立っていた。
Aは｢なんのこと？｣ととぼけて見せる。
｢何が『12時に駅前のカフェで待ち合わせ』だ。今何時だと思ってる！｣
ポケットからスマホを取り出すと、Aの目の前に画面を向ける。
ぐっと近くに寄せられたスマホの画面には、『３：２１』と表示されていた。
朝からAは彼に電話していたらしい。先ほどの待ち合わせの話だ。
……明らかに喜んだような声で｢よし、解った｣と答えた彼に、心の中でAは謝った。
普段は彼から誘うので、Aから遊びに誘われたのがよほど嬉しかったのか──彼は何も疑わずに話を信じてしまった。
そしてなんと、彼は三時間あまり駅前のカフェでAを待っていたらしい。
何度電話をしても出ないから、心配して様子を見に来たら────まあ今に至る。
｢どういうつもりだ｣
｢貴方、カレンダー見た？｣
｢話をはぐらかすな｣
｢良いから、答えがそこにあるのよ｣
頭に上がる血を抑えながら、オーバーホールはスマホでカレンダーを開く。
｢これがどうし───｣そこまで言って、目が点になった。
そして全て悟ってしまった。……ああ、今日はエイプリルフールだと。
｢………ああ、うん｣
スマホをポケットに直しながら、オーバーホールは少し遠くを見た。
典型的なあれだ。４月馬鹿とか言うやつである。そんな自分に内心呆れ果てた。
｢ふふふ、騙された？｣
｢完全に。今、俺は俺自身の無能さに将来を心配してる｣
｢そ、そんなに？！｣───Aは思わず変な声を出す。
無論、彼は極道の若頭ゆえにそんな心配をするのだが、その事実を彼女は知らない。
｢でも、三時間も待ってくれたんだ｣
｢……ああ｣
｢ありがとう｣
じゃあ今から遊びに行こうか？とAが言えば｢本当かよ｣と疑われた。
｢本当よ。……でも、ね｣
貴方がもうすぐいなくなる。
これも４月に言われたら、笑い飛ばせたかもしれないのにね。
そう呟いたら、｢それも本当のことだ｣と彼は冷たく返事をした。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - はなめがねさん» ありがとうございます！！そして続編にて一話だけ更新し完結しました(笑)本当にありがとうございます！皆様のお陰です！！素敵だなんて本当に嬉しいです！！(>_<) (2017年11月2日 17時) (携帯から) (
レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
はなめがね(プロフ) - うわあああ……！！！思わず泣いてしまいました…！なんて素敵な事するんだかぁびぃさん私怒ってますよ（）更新頑張ってください、応援しています！ (2017年11月2日 16時) (レス) id: b5b2abb61e (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - こずめさん» ありがとうございます！！私も『オーバーホールの作品少ないな』と思い執筆に至りました。あと個人的に彼が凄く好きで…！内容が好みだと言ってもらえて、凄く嬉しいです！彼らの一年間、宜しければ最後までお付き合い下さればと思います！ (2017年10月31日 2時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
こずめ(プロフ) - オーバーホールの夢小説なかなか見 ないから…嬉しすぎて…しかも内容好み過ぎる…貴方が神か;;; (2017年10月31日 0時) (レス) id: 6ff71fb740 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 華さん» はじめまして！拙作を閲覧してくださりありがとうございます！！少しでも皆様の心にささやきかけるものがあるのなら、本作を執筆していて良かったなと思えました！どんな結末になるのか、ぜひ彼らの一年を見届けてほしいなと思います！ (2017年10月29日 17時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2017年10月24日 20時
