10：オーバーホール ページ20
【オーバーホール】
──始まった。私にはまだ『次』が存在した。
殺風景なインテリアが際立つ、清潔な部屋。私のラストはここで始まった。
もう目覚める事は出来ないとさえ思っていたから、このチャンスはとても嬉しい。だが同時に体全体に襲い掛かる重々しい『死の不協和音』が私を苦しめた。……いや、違う。私が成り代わっている今のこの身体の人物が苦しいのだろう。
｢誰でも構わない……！！ お願い、私を、私の元まで導いて──！｣
固い作りのベッドから飛び上がり、ドアに近付き転びそうになりながら飛び出す。見たことも無い地下世界。でも私は進むしか無かった。
足取りが重いのは、私がそう言う存在だったから。そして私がもう事切れそうだから。私は私の動物的な直感を信じ、ただただ足を動かした。
道中、鏡を見つけた。写った姿は何とも端正な顔立ちの青年。きつい金色の目付きも、今は私であるせいかどこか頼りなかった。
｢どうしたんすか？ こんな時間に珍しいすね｣
後ろから呼び止められる。白いフードの、変なマスクを着けた人。
なんと返事をしたらいいか分からず、私はすぐに頭が真っ白になった。ただ｢早く行かなければ｣と言う思いだけが先行した。
｢マスクもつけてねェじゃないすか。オーバーホール｣
｢……｣
下手に返事も返さず、私はまた歩き出した。｢大丈夫すか？｣とその人は尚も食らいついてくる。
私は、早く行きたいだけなのに────。
｢体調も悪いみてぇだし、ひとりは危険──｣
｢俺はすぐに戻る｣
私の口は、勝手に動いた。当たり前の事のように、ごくごく自然に。
｢分かったな、クロノ｣
自然に出たその言葉。相手の名前。私の知らないこと。
そして察した。──『この身体の人物が私を助けてくれたのだ』と。理由はよくは分からないが好機だった。爆豪のときも無意識に自身を殴る事があったので、別にそれも不思議ではない。
クロノ、と呼ばれた彼は｢わかりやした｣と小さい声で答え、何も見ていないかのように踵を返して来た道を戻って行った。
｢行くぞ｣
私の、彼の口から漏れた声。同時に漏れたその声は、反響して消える前に私の足を動かした。
不思議と、もう迷わなかった。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 花藺さん» 最後まで閲覧して下さりありがとうござました！！！！(*´ω｀*)今回も色々ありましたがなんとか完結させることが出来ました……！！ここまでこの作品にお付き合いして下さり大変感謝です！！(*´ω｀*) (2018年8月25日 0時) (
レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 夜桜瑠奈さん» ラストまでお付き合い下さりありがとうござました！！！！まさかバッチリ予想されていたとは……！お見事です……！！！またこんな雰囲気の作品が書けたらなあと思います！ありがとうござました！！！！(*´ω｀*) (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - か○ぴすさん» 最後まで閲覧ありがとうござました！！！！なんとか完結させることが出来て良かったです……！そう言って頂けると書き手として最高に嬉しいです！ありがとうござました！！！！ (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - クロスさん» 最後まで閲覧ありがとうござました！！成り変わられたような不思議な縁でしたので、そこばかりは根性(？)で乗り越えてほしい感はあります(；´・ω・)手袋厳重に付けて連れ帰って、割と面倒はクロノが見るのかも知れませんね(；´・ω・) (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
クロス - 完結おめでとうございます!!最後でもし、もしもオバホルートだったら潔癖性はどうなってしまうのでしょうかね。 (2018年8月24日 21時) (レス) id: 22ec0e9537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2018年1月29日 21時
