08：ヒーローならば、助けるのが当たり前である ページ14
──蛇に睨まれた蛙である。
私はピクリとも動けずに、目の前にいる少年の顔を見詰めた。
鋭い目付きのその少年は私から目を離すことなく、また、静かに問い掛ける。
「お前は、誰だ」
それは、私自身が誰よりも知りたい答えだった。
自分が男なのか女なのかも正確にはわからない私が、この問い掛けに答えられるハズもない。私は、黙りを決め込むしかなかった。
──本当の事を話すか。
──全力で逃げ出すか。
不慣れなこの身体を使い、土地勘の全く無いこの場所で目の前にいる彼から逃げるのは不可能に近い気がした。……彼がどれ程素早いかは定かではないが。
「やはり夜嵐ではないな……！！」
「……！」
こうも簡単に本人ではないとバレるなんて、後々不安なものだ。なんと言っても、この夜嵐と言う男の子に迷惑が掛かるのだから。
───言おう。本当のことを。
目の前の子は、これほどまでに聡い。信じてくれることを信じ、私は小さく口を開いた。
「確かに私は、その、夜嵐ではありません」
「ほう、ずいぶん素直に口を割ったな」
「だけど、私が『何者なのか』は解らないの」
「…………？」
今までのことを話した。喋るのが下手なら演じることも下手な私は、器用な事がなにも出来ない。
全てきちんと話すのが最善なのだと思った。
「────それで、今は夜嵐イナサの身体だと言いたいのだな？」
私は、重々しく頷く。
目付きの悪い彼は、暫く品を見るようにじっと私を見ていたが、すぐにその目を閉じた。
「にわかに信じ難い」
ああ。難しい言葉だが、意味は何と無く伝わった。
きっと、信じられないと言いたいのだ。私ですら自分に自信が持てていないのに、信じてほしいと願うのはおこがましかったのか。
「だが、困っているのは解る」
「え……」
「困っているのであろう。お前の目は、困っている弱者のそれだ」
弱者。意外と的を射てるかもしれない。
私はおそらく、強くはなかったのだろう。今も何かが堪らなく寒くて、寂しくて、それが何故なのかが解っていなくて。
「ヒーローなら、助けるのが当たり前である。──私は肉倉。士傑生だ」
そう手を伸ばしてくれた彼に、私は心操と名乗った男の子を思い出した。なぜヒーローを志す彼らは、こんなにも優しくて、逞しく、眩しいのだろう。
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かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 花藺さん» 最後まで閲覧して下さりありがとうござました！！！！(*´ω｀*)今回も色々ありましたがなんとか完結させることが出来ました……！！ここまでこの作品にお付き合いして下さり大変感謝です！！(*´ω｀*) (2018年8月25日 0時) (
レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - 夜桜瑠奈さん» ラストまでお付き合い下さりありがとうござました！！！！まさかバッチリ予想されていたとは……！お見事です……！！！またこんな雰囲気の作品が書けたらなあと思います！ありがとうござました！！！！(*´ω｀*) (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - か○ぴすさん» 最後まで閲覧ありがとうござました！！！！なんとか完結させることが出来て良かったです……！そう言って頂けると書き手として最高に嬉しいです！ありがとうござました！！！！ (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - クロスさん» 最後まで閲覧ありがとうござました！！成り変わられたような不思議な縁でしたので、そこばかりは根性(？)で乗り越えてほしい感はあります(；´・ω・)手袋厳重に付けて連れ帰って、割と面倒はクロノが見るのかも知れませんね(；´・ω・) (2018年8月25日 0時) (レス) id: 80882f2135 (このIDを非表示/違反報告)
クロス - 完結おめでとうございます!!最後でもし、もしもオバホルートだったら潔癖性はどうなってしまうのでしょうかね。 (2018年8月24日 21時) (レス) id: 22ec0e9537 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かぁびぃ(駄作者) | 作成日時：2018年1月29日 21時
