じゃあ、世界を救いますか【ドラゴンボール】

【番外編】アルビノのナメック星人 ２ ページ11

｢ジーヴルさんって、フリーザ一族ですよね…？｣


道中、マイカがそうジーヴルに聞いた。
ジーヴルは｢ええ｣と淡々とした答える。


｢どうして、ヒーローになろうと思ったんですか？｣

｢俺にはフリーザ一族特有の戦闘スキルの高さとか、抜きん出た才能とか全然なくて。
そんな現実から逃げるように、ヒーローになりました｣


普段はあまり自分から身の上話をしたりはしないが、聞かれたのなら答えてもいいかと判断したのだ。

マイカは少しだけ驚いたように顔をして｢そんなフリーザ一族もいるんだ…｣と縮こまった。


｢まあ、成り行きですね｣――そう言いながら、目的の場所を指差す。


｢あそこに残党がいるとの事です。
まずは武装を解除させましょう｣

｢…ど、どうやって…？｣


｢もちろん、実力行使で｣――ジーヴルは素早くその場を蹴り移動する。

ひらりと砦に入り込むと、それだけで何人かの異星人が視界に入った。管理施設の者ではなさそうだ。

マイカも遅れて砦についたが、ジーヴルから｢危ないですよ｣と制され素直に少し離れる。


｢ふ、フリーザ一族？！
管理施設のやつか！｣


そう言いながら、ジーヴルに武器を構えてテロリスト達は近付く。


｢お？珍しいナメック星人を連れてんな｣

｢え！ぼ、僕ですか？！｣


｢売り捌けばそこそこの値段がつきそうだな…｣


武器を構えた男が、ゆったりとした足取りでマイカに近付く。

マイカもおどおどしてはいたが、意を決して戦闘体制に入った。


｢すみません。相手は俺がすることになってるんで｣


だが、それよりも速くにジーヴルが動いた。
自らを囲んでいた異戦闘の手から武器だけを叩き落とす。
彼の手には、長い得物が光っていた。――ヒーロー特有の技の一つ。


｢"スピリッツソード"｣


産み出された気の剣を素早く振りかざし、峰で残党達を打ち気絶させていく。

それを見たマイカに近付いた男は仰天した。


｢ま、待ってくれ！武器は捨てるから斬らないでくれ！！｣


だがジーヴルは武器を捨てて投降した男の首に、峰を落とした。
起こしておいても良いことは無いだろう。


｢…別に、俺は誰も斬ってないし｣


そう呟きながら、光の剣を消した。

マイカが赤い目をキラキラとさせてジーヴルを見ているのに、本人も気付く。


｢……あの？｣

｢か、カッコいいです……！！｣


そしてマイカはにこりと綺麗に笑った。


｢とてもカッコいいヒーローなんですねっ。クールで強くて優しくて…｣

｢あ、いえ…。別に俺が人一倍強いって訳じゃ無いんですが…｣


そう謙遜しながら、｢でも｣とジーヴルは続けた。


｢『俺自身』を見てくれてありがとう｣

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