霧氷と少女 ページ1
Aは町の中を全力で走っていた。
『隠れ宇宙』や『迷い子の世界』とか呼ばれているこの宇宙は、誰がいつそう名付けたかは不明だが、Aは特に気にしたりはしなかった。
「まあ、なるようになったんだろうな」――それくらいの感性だったからだ。
全力で走る彼女に、道行く人々が気さくに挨拶を返してくる。
「おはよう」とか「今日も元気ね」とか。
それ全てにAは、面倒くさがったような短い返事だけを返し、目的の場所に向かった。
季節は、もう冬だ。
走る度に肌が裂かれるようにヒリヒリして、手袋を纏った手で頬を押さえる。
「あ」――突然背後から声がして、Aはその場に立ち止まるとゆっくり振り返った。
そこにはマントを乱暴に纏う男が立っていた。
まるでフリーザのようなその人物は、長身でたくましい身体つきをしており、青い顔には黒いラインが入っている。
「また遅刻する気ですか、A隊長」
「おはようジーヴル。相変わらずアンタは私には冷たいわね」
Aがジーヴルと呼んだ相手は、少し困ったような顔をしながら「別に冷たくしたい訳ではないんですが」と答えた。
「毎日遅刻して、よく飽きないなー…と」
「これはね、飽きるか飽きないかの問題じゃないのよね」
そう良いながら、Aはまた風を切るように走り出した。
そんな彼女を後ろから見ながら、ジーヴルは「俺が飛びましょうか?」と助け船を出してくる。
「貴方一人くらいなら、普通に抱えて飛べますけど」
「…………」
ここで誰かに甘えていいのか?それで遅刻を回避して、自分は満足か?
答えは、決まっていた。
「…じゃあ、頼むわ」
「了解しました」
プライドにこだわって遅刻するなど愚の骨頂だ。
そう判断したAはジーヴルの好意を甘んじて受け入れたのだった。
14人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - あかさん» ありがとうございます!色々と不安があったのですが、安心しました!!マイカくんが可愛くて素敵でビックリです\(^o^)/イラストまで閲覧して頂き光栄です!ありがとうございました!! (2017年8月8日 14時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
あか - ありがとうございます!!( ゜д゜)、;'.・マイカ可愛すぎか!!(゜▽゜*)ジーヴルくんが普通にイケメン過ぎてビビりましたwwかぁびぃさんイラスト上手いっすねw (2017年8月8日 14時) (レス) id: 337ce1f3d3 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - あかさん» 丁重にありがとうございます\(^o^)/頑張りますね!! (2017年8月7日 6時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
あか - 取り敢えずおどおどしておけば問題ありませんwwありがとうございます!(゜▽゜*)w (2017年8月7日 4時) (レス) id: 337ce1f3d3 (このIDを非表示/違反報告)
かぁびぃ(駄作者)(プロフ) - あかさん» ありがとうございます!!ジーヴルは淡々とした口調になるよう心がけてるので嬉しいです\(^o^)/マイヤくんですね、承りました!口調などに若干違和感を感じると思われますが、大丈夫でしょうか? (2017年8月7日 4時) (携帯から) (レス) id: 87e86307e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かぁびぃ(駄作者) | 作成日時:2017年8月6日 12時