真選組子育て奮闘記。

ほしいのか、いらないのか。　　山崎side ページ32

「ねえ、Aちゃん。」









「ん・・・・・？」









「・・・・Aちゃんはさ、
お母さん、ほしいと思う？」









ずいぶんと突っ込んだ質問。
でも、聞いておかなきゃ、いけない気がした。









「・・・・ほしい・・・かも・・・」









すぐさま返された答え。
別にどんな答えがほしかったわけでもないはずなのに、
一瞬、息がとまった気がした。








「あっちゃんもね、みっくんもね、
みんなね、おかあさんが、っていうの。





カレー作ってくれたりとか、ぎゅってしてくれたりするんだって。
あったかいんだって。
すごく、優しくて、大好きなんだって。









だから、いいな、って。」









「そう・・・なんだ・・。」









どうしようもなく、苦しかった。

フツ―に話しているときと変わらないAちゃんの声のトーンが、









・・・・すごく、かなしかった。









やはり、決断は間違ってなかったかもしれない。
もうすぐ、Aちゃんには優しいお母さんができるのだから。
でも、あってるともおもえない。









自分のこの気もちの結論が、見当たらない。









「・・・・質問に、答えてくれてありがとね。
ほら、もうそろそろ寝ないと。


お父さんに怒られるよ。
こらーって！」









「え！？やだっ！
おとしゃん怒ると怖いんだよ！」









「・・・だれよりも、一番それは俺が知ってると思う・・」









そんなくだらない会話にすり替えながら、部屋へと連れて行く。









「あ、けらい、でもね！」









まだ何か喋りたそうだったけど、
俺には聞いてやる気力が残ってなくて。









「明日またきくね。
おやすみ、Aちゃん。」









うなだれたままに背を向けた。





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