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結論から言うと、わたしのヤな予感はなんにも、なんにも間違っていなかった。
工事現場の最上階。わたしの目の前に現れたのは、大きな大きな怪物、もとい妖怪！こいつだ、間違いない！上半身しか見えないおぼろ気な怪物が、おかしな気配の正体だったんだ。
「あ、あれ？なんか、寒気が……」
「かえって！二人とも、かえって！」
わたしが強く呼び掛けると、青い顔をしたチャラ男と友達は、待ってましたとばかりに踵を返した。わたしは置いていかれた。うえー、薄情か？べつにいーけどさ！自分でなんとかするし！
目の前のおぼろな妖怪の視線が、ぎろぎろとあたりをなめ回す。見つからないようにちいさく身を縮めると、また足音が聞こえた。……え？嘘？足音？
「ま、まだ来ちゃだ＿＿」
そういいかけて、わたしは口をつぐんだ。現れたのが、あの女の子だったからだ。胸元に可愛らしい時計が光る、妖怪が見える女の子。隣には小さな、コマイヌのような妖怪と、ふわふわしたお化け。それを待っていたかのように、キツネの妖怪が現れる。
えー、情報過多だよ！
あのキツネは見たことがある、一度だけ。一緒にいたグレちゃんが「キザなヤローだぜ」とぼやいてたっけ。
でで、彼女にはもしかしてあのおぼろな怪物が見えてないのか？まだ？……そうだよなー、わたしみたいに生まれつきじゃーないもんな。ってことは逃げてって言っても無駄だ。あーあ……
ああいや、ちがう……もしかしてキツネの妖怪は、あの子と怪物を……戦わせようとしてるの？
なに、あの子にそんな力が？ともだち？ともだちを呼び出す？
白いふわふわの言葉に耳を傾けていると、彼女が見覚えのあるメダルを時計に差し込んだ。光が舞い上がり、消えた時には……妖怪たちが、現れていた。……ああ！もしかして、あの時計！そして、使い道がわからなかったメダルは？
そっかあ、そういうことに使うんだー……
こんな状況なのに、月明かりの下の工事現場の片隅で、わたしはようやく長年の謎が解けたような気持ちになっていた。
うんうん、ほんとはもう帰ろうと思ってたんだけど。あの子が指示して妖怪たちが戦うのなら、ちょっと見てみたいかも！……野次馬気分はごめんかー？でも、最初ほど、あの怪物が怖くなくなったのは事実だったから。ね？
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作者名：さくしゃ | 作成日時：2020年10月6日 2時
