恩讐の彼方に【JS】 (ページ1)

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訪れページ1

そう、彼が初めてわが家へやってきた日のこと…それはいまでもよく覚えている。
　
「翔、こっちへ来なさい。ああ紹介しようか。この子の名前は潤。突然だが今日からこの家で暮らすことになったんだ。お前とは年も近いし弟だと思って仲良くしてあげなさい。」

黒くて大きな目に白い頬、小さくて細っこいそいつはまるで女の子のようだった。ーよろしくお願いします、とか細い声で呟いたかと思うとすぐさまうつむいてしまい途方に暮れる。

「潤はなぁ、兄さんの子供らしいんだ。」

「兄さんってあの叔父さんのこと？でも叔父さんは確か亡くなったはずじゃあ…？」

「死んでるか生きてるかなんて私にもよくわからん。生きてるかもしれないし死んでるかもしれない。まあでもあのバカのことだ、どこかでのらりくらりと生きてるんだろうよ。」

父がそうやって吐き捨てるように言うとそいつの肩がピクリと揺れ、やっとうつむいていた顔がこちらを向いた。そのとき俺はその容貌に叔父さんの影が見えることに気が付いた。そういえばあの人も美しい顔立ちをしていたと思い出す。性格はだいぶアレだったけれども。

「俺の名前は櫻井翔っていうんだ！これからよろしくな、潤！」

そういうと潤は恥ずかしそうに、でもしっかりと目を見て笑ってくれた。何だかうれしくなる。

ーこれがすべての始まりだなんて思いもせずに。