今日から愉しい誘拐生活【夏油傑】

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ゴーイングマイウェイって大事。
イカれてなきゃやってらんない。

呪術師ってそんな感じで。

ただ、綺麗な生き方が欲しかっただけ。





「愛してるよ」





今日も今日とて、私をその世界から攫った男は言う。





「愛してたよ」





今日も今日とて、その男に私はそう返す。



　神は死んだ、とニーチェではないから言えやしないし、ストックホルム症候群を拗らせてもいない。
子供は残酷というなら、彼だって相も変わらずそうだから。


私にとって彼は何だろう。

少なくとも、赤の他人とは到底言えない。

彼は私の誘拐犯。

身は持ってかれたけど、心までもは持ってかれてない。





「そろそろ、観念したら？」

「や」

「なんで？」

「逆になんで良いと思ったの？ダーリン」

「…“ダーリン”ってもう一回言って」

「や」

「なんで？」

「無限ループじゃんね。かぁいいダーリン」





傑は不満気にキスをしてきた。都合の悪いときにキスをするのは何時ものことだ。
私の好きな福耳は、隠しているだろうが赤く熟れている。

だって縛りを結ぶくらい、彼は私が大事だから。





「ねぇ傑」





彼は私の身を攫ったが。
私は彼の心を攫っているから。





「愛してる？」





私も彼も、互い互いに誘拐してるから。





【今日から愉しい誘拐生活】

完。

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