今日から愉しい誘拐生活【夏油傑】

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　ぬいぐるみが欲しい、と言った次の日。
　傑は柴犬のぬいぐるみと双子の女の子を連れて来た。

もしもし事案です夜蛾センセ(ポリスメン)。


美々子と菜々子だよ、と教えてくれた。そうじゃない。そうじゃないんだよ傑。誰か取説をちょうだい。





「美々子です、Aさま」

「菜々子です、Aさま」

「二人とも自己紹介ができて偉いね」

「夏油さま…！」

「褒められた…！」

「ツッコミが足りない。たすけて硝子」





此処に居ない親友に助けを求めたが、勿論、解決することなんてなかった。助けて親友とポリスメン。
ラノベにできそう。

『私を軟禁してる元恋人が双子の女の子を様付けで呼ばせている件について』。
タイトルが長いね。





「A、この子らには君が私の恋人って伝えてあるから」

「こんにちは愛らしいキティ。私は傑の“元”恋人なの」

「元…？」

「元…？」

「元恋人で今は婚約者だよ」

「わぁ初耳」





ホント初耳。驚いたね。張本人の私は初めて聞いたよ。
いつ私が傑の婚約者になったって？

こら。美々子に菜々子、嬉しそうに頷くんじゃない。
此奴の言葉の十二割は歪曲表現なんだから。





「ということで、私達は家族だ。仲良くしてね」

「ミミナナって呼んでいい？」

「適応能力高いね」





呪術師ですから。
呪詛師扱いされてるかもしれないけれど。





「ミミナナ…！」

「ミミナナ…！」

「ミミナナはうれし？ニコイチのキティ」

「嬉しいです！」

「すっごく！」





よし、ミミナナ、嬉しそうに頷くじゃん。





「…まぁ、仲良く出来そうで良かった」

「私、子供は好きだからね」

「へぇ？初めて知ったな。そうだったんだ」

「傑とか」

「今夜覚えててね」

「子供の前でなんてこと言うの」





ミミナナを見たが、意味は分からなかったようで首を傾げていた。それでいいのよ可愛い子。
だって分かった方が問題だもの。

私はミミナナを両手で抱きしめ、傑に「シャァ！」と威嚇した。





「傑は存在自体が教育に悪い。この子らは私が育てる」

「Aが母性に目覚めちゃった」


「Aさまが…ママ…？」

「でも美々子、Aさまは夏油さまの婚約者で…」

「なら菜々子、夏油さまは私たちの…？」


「傑、ミミナナがアイデアロールに大失敗しそうだから訂正したげて」

「やだ」

「イヤイヤ期じゃん」





やっぱり、傑は子供だと思う。




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