ドキドキの再会譚 ページ7
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任務に出ていた夏油は、美々子と菜々子の通う学校から来た知らせに目を剥いた。
『美々子さんと菜々子さんが登校中に不審者と遭遇して通りかかった六年生に助けられました』
「は?」
『お二人は無事ですが、助けてくれた六年生の子に引っ付いて離れないんです』
「は??」
『「猿じゃない、猿じゃない」とお二人が泣くのですが…』
「は???」
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保健室に直行した夏油が見たのは、両手を上げて「無罪です!!!」と主張する何時ぞやの少年と、
「猿じゃない〜〜〜!」と泣いて少年の腰に抱きつく美々子と菜々子だった。
入って来た夏油に気がつくと、美々子と菜々子はあっさり「夏油様!」と少年から離れた。
少年は夏油の方を向くと、キャパオーバーらしく自由になった身体を脱力させた。
「よしよし、怖かったね、二人とも」
「夏油さま、猿がぁ……!」
「気持ちの悪い猿がぁ……!」
「うんうん。その猿はどうなったのかな?」
「古泉が股間蹴り上げました」
「それでもう捕まりました」
「なんて?」
古泉、とは。
夏油が少年の方を向くと、少年は胸元のネームを指差して諦めたように笑った。
「古泉Aです」と。
整った顔立ちと、やっぱり真っ暗な瞳で笑った。
「古泉君、ね。うちの子が世話になったよ。本当に有り難うね」
「いいえ、そこまでのことは。偶然ですよ」
「謙遜する必要は無いさ。不審者を撃退するとはね、君が居てくれてよかったよ」
「僕もパニックになっていただけですよ。頭が真っ白だったんですから」
「美々子と菜々子にもこれから気をつけるように言うよ」
「そうですね。ただでさえ狙われやすいの、」
そこまで言ってから少年は、自分が何を言ったのか気づいたらしかった。
続く筈だった「で……」という一字が弱々しく口から出る。少年はダラダラと冷や汗を流し始めた。
成る程、『猿じゃない』とは。
「狙われやすい、ねぇ?」
「ひぇ…」
か弱い悲鳴をあげる少年に、夏油はにっこり微笑んだ。そしてグロテスクな呪霊をノールックで頭上に出した。
少年は夏油の頭上を見上げると、息の出来ない金魚みたいな反応をした。
つまりは“視えている”ということで。
「話、聞かせて貰えるよね?」
少年に、拒否権もクソも有りやしない。
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81194エド(プロフ) - 続きを楽しみにこれからの人生生きようと思います。 (7月24日 21時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - まって先生浮気バレたことあるの??ってなって吹きました(ストーリー関係ない)男主の話ちょっと苦手な所あるけどこのお話面白いです! (7月20日 17時) (レス) @page1 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 保健室に来たからですかねって言ってたところでクスッときましためっちゃ好きです (2022年9月23日 9時) (レス) @page5 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
寝子 - 続き全裸待機してます (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: bf4f191397 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 続き待ってます!!!!! (2022年3月30日 1時) (レス) @page8 id: 70f5cfe725 (このIDを非表示/違反報告)
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