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体調不良はお大事に ページ5







 「失礼します」、と入ってきた少年に、美々子と菜々子はひゅんと肩をすくめた。

 酷く暗い目の少年は顔色が悪く、何やら冷や汗をかいていた。
そして夏油たちを見た途端に、何故かさらに顔色を悪くする。







「えーと……」


「みみこ…」


「ななこ…」







少年も双子も「なんでいるの…?」みたいな表情で固まってしまった。
この場で大丈夫そうなのは夏油だけになった。夏油はちょっと頭を抱えたくなった。


顔色悪い少年少女。
カタギに見えない青年。

そんな面子の小学校保健室は膠着状態である。


だが腐っても夏油は保護者、この場でアクションを起こさないわけにはいかない。

「猿」と言いそうになってしまったが夏油は少年に問いかけた。







「ああ、君はこの学校の生徒かな?」







人当たりの良さには定評がある。夏油はにっこりと(敵意は無いよ!)みたいな顔で言い、呪霊を召喚しようとする右手をなんとか抑えた。



一方少年は更に顔色を悪くしていた。

 そして何故かはやっぱり分からないが、アッと声が出そうなくらい真っ黒な目で、処刑寸前のヒトみたいに困ったように微笑んだ。

憂い整った顔立ちも相まって、死刑囚らしさは増していた。







「あー、そうです。えっと、転入生の」


「夏油。私は保護者さ。君は顔色が悪いね」


「まぁ。気分が悪いんです。保健室に来たからですかね」


「気分が悪いから保健室に来たのではなくて?」


「保健室に来てから本格的に気分が悪くなりましたね」







わぁ失礼だな、と夏油は思った。だが初対面に失礼すぎていっそ気持ちが良かった。
ヘンにへらへら薄っぺらく笑われるよりずっと良い。

美々子と菜々子を落ち着かせるように撫で、夏油は少年の真っ黒な目を見据えた。


眉を顰めて微笑む少年を、追い出す口実もできたので。







「それは大変だ。帰った方が身の為だと思うよ」


「そうしますよ。お大事に、双子さん達」







にっこりと笑って少年は回れ右をした。
そのままいっそ清々しい程素直に帰って行った。

あまりにもあっさりしていたので、夏油は二秒後に現状を把握した。



 何あの話が通じすぎる猿。
ふーん?面白いジャン。とはならない。猿アレルギーは健在です。







「…美々子、菜々子、大丈夫かい?」







夏油は考えるのをやめて、双子の心配をした。




 
 不審者に会った双子を少年が助け、夏油と少年が再会するのが一週間後のことである。




どこにでもいるアレ→←だってオンナノコだもの



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81194エド(プロフ) - 続きを楽しみにこれからの人生生きようと思います。 (7月24日 21時) (レス) id: a78013dc1d (このIDを非表示/違反報告)
Wolf @ 元フェアリー(プロフ) - まって先生浮気バレたことあるの??ってなって吹きました(ストーリー関係ない)男主の話ちょっと苦手な所あるけどこのお話面白いです! (7月20日 17時) (レス) @page1 id: ebc545326a (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - 保健室に来たからですかねって言ってたところでクスッときましためっちゃ好きです (2022年9月23日 9時) (レス) @page5 id: c9b27d8eb7 (このIDを非表示/違反報告)
寝子 - 続き全裸待機してます (2022年8月29日 9時) (レス) @page8 id: bf4f191397 (このIDを非表示/違反報告)
雪姫(プロフ) - 続き待ってます!!!!! (2022年3月30日 1時) (レス) @page8 id: 70f5cfe725 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ミントティー | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年2月26日 12時

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