18話 前任者の影と主 ページ18
彼女は主と呼ぶには刀剣男士との距離を随分と縮めたがる。鶴丸と共に悪戯をして本丸中を駆け巡る姿は幼いし、威厳なんてものあったものじゃない。
堀川に説教をされている場面を見る度に、主従関係が逆転しているのではないかと思うほどだ。ただ、無邪気な性格をしている。
そんな彼女が、その時唯一渋い顔を見せる時間があった。それは、本丸に前任者の影を発見した時である。
どうにも前任者は本丸に私物を持ち込むのが好きだったらしく、いたるところに前任者の使っていた物や、それらを思わせるものがある。それを見る度に、ニコニコと愛らしく笑っていた彼女の表情が固まる。
「鶴丸さん、鶴丸さん。今日の悪戯の、廊下をこれでもかって程磨いて皆を滑らせるっていうの、少し後回しにしてもらっていいですか?」
「お、どうしたんだ急に」
「……前任者の影があったので、少し……影踏みに」
早歩きで何処かへ去っていくAに、鶴丸は小さく溜息を吐く。その後を追えば、前任者の日記のようなものが収納されている本棚を見つけた。それを睨み、厳しい表情をしているAは、決して前任者の影に刀剣達を近づけたがらない。
それは全て刀剣たちのことを思ってのことだと知っている。彼女に心を許す刀剣も、薄っすらと警戒を解き始めている刀剣達も。
その日記に手を伸ばしたAを見て、鶴丸は反射的それの後ろに回り、その目を片手で隠す。「わっ」という小さい悲鳴を上げている間に、彼女が手に取ろうとした日記を自分の本体である刀で切り捨てた。
「君は見るべきものじゃないぜ」
「……そうですか?」
「ああ。こういう驚きは必要ない。もっと純粋に楽しめる驚きを求めようじゃないか。床を滑りやすくする方が楽しいぞ。驚いた皆の顔が見れて」
「そうですね。早くしないと堀川君に見つかって怒られちゃいます!」
そんな彼女だからこそ、刀剣達だって前任者の影に彼女を近づけたくなかった。鶴丸によって切り捨てられた日記には、彼女のためになるようなことは一文も載っていない。分かり切った事実だ。
笑顔で小走りになるAを追いかけ、今日も鶴丸は驚きを求めて悪戯を仕掛ける。今となっては、主と共に驚きを求めるのが、彼の日課だ。
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霜月楓(プロフ) - mikuさん» 全然大丈夫ですよ笑未だに読み返して同じ所で笑ってます笑笑頑張ってください(笑) (2016年3月16日 17時) (レス) id: e6db2b3192 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 霜月楓さん» すごく返信遅れてすみません……! 腹筋の運動のお手伝いになれたならよかったです……! 頑張りますね! おおお……! 尚更笑っていただけて嬉しいです! (2016年3月16日 14時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
霜月楓(プロフ) - mikuさん» いえいえ!ほんとに笑い過ぎて腹筋オワタだったんで笑頑張ってくださいね笑笑((僕普段あんま笑わないんで腹筋&表情筋痛い笑)) (2016年1月30日 3時) (レス) id: e6db2b3192 (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - Ruriさん» わああ、有難うございます! 笑っていただけてすごく嬉しいです! 更新頑張ります! 応援に応えられるよう、面白い話が書けるように頑張りますね! (2016年1月29日 22時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
miku(プロフ) - 霜月楓さん» そういっていただけてうれしいです! お気に入り有難うございます! 滑ってないかどうかすごく心配だったりするので、本当にコメント有難うございます……! 助かります……! (2016年1月29日 22時) (レス) id: 38fa76f22b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:miku | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/katudoutyu12/
作成日時:2015年7月2日 20時