大好きだよ。 (ページ9)

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「藤ヶ谷？」
「ひゃ･･･き、きたやまっ･･･」

不意に背後から声が聞こえてビックリした。
後ろを向くとそこには今正に頭の中を占めていた北山の姿が･･･

ああ･･･またドキドキしてきた。

「どーした？」
「なっ、なんでもないっ！」
「まてよ」
「っ･･･」

一緒に居るのはマズイと思って移動しようとしたら腕を掴まれ動けなくなる。
掴まれた腕が異常なくらい熱く感じる。

「なんで逃げるの？」
「･･･にげてない」
「うそつけ、俺が来た途端にどっか行こうとしたくせによぉ」
「か、かえろうとした、だけ･･･」
「ふーん、何も買わずに？」
「うっ･･･」

今日の北山は鋭い。
てか、慌てて出てきたから財布すら持ってきてなかったんだけどね。

「藤ヶ谷･･･」
「わっ！？」

腕をグイッと引っ張られ向かい合わせにされてしまう。

「･･･真っ赤だな」
「っ･･･やだ、みないで･･･」

腕で顔を隠そうとしても片腕じゃ隠しきれず、俺より小さい北山には簡単に覗かれてしまう。

「藤ヶ谷、こっち見て？」
「むり･･･」

いやいやと首を振る。
無理だよ、顔なんか見たら心臓が爆発して死んじゃうよ。

「しょうがないなぁ」
「え･･･ぁっ･･･」

また腕を引っ張られたと思ったらベンチに座らされ、顎をクイッと上げられ、上を向かせられる。

「これでバッチリ見えるな」

ニヤリと笑う北山。
こんな状況だけど、やっぱり格好良い。

「きたやま、はなして･･･」

この体勢はやだ･･･
なんで顎クイなんてするんだよ！！

「嫌だね、ちゃんと理由話してくれるまでは離さないよ」

理由って･･･そんなの･･･

「だって･･･おれ、へんなの･･･」
「変って？」
「それは･･･」

自分でも良く分からないのに、どうやって話せば良いの？

「言って･･･藤ヶ谷が変だって思うこと、俺に全部言ってみな」

北山に話せば何か分かるのかな？
でもやっぱこの体勢は嫌だよ･･･

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