個性：重力操作

委員長決め ページ20

HRの時間ピッタリになると、先生が入ってきた。さすが、合理主義者だな、寸分の狂いなし。先生は教卓にプリントの束を置くと、挨拶もそこそこに話し始めた。

「昨日の戦闘訓練お疲れ。Vと成績見させてもらった。爆豪、おまえもうガキみてえなマネするな。能力あるんだから」

「………わかってる」

「で、緑谷はまた腕ブッ壊して一件落着か。“個性”の制御…いつまでも「出来ないから仕方ない」じゃ通させねえぞ。俺は同じ事言うのが嫌いだ。それさえクリアすればやれることは多い。焦れよ、緑谷」

「っはい！」

先生は感想を言い終えると、クラス中を見回し、口を開く。

「さて、HRの本題だ…急で悪いが今日は君らに…学級委員長を決めてもらう」

「学校っぽいの来たー!!!」

雑用係なんて誰がやるんだ…と考えていると、クラスのほぼ全員が挙手をした。え、なんで。ただの雑用係だろ？それに、相澤先生にパシられる未来しか見えねェが…コイツら、正気か？

「静粛にしたまえ！！」

ガヤガヤと騒がしくなったクラスに、一人の声が響く。妾含め、全員がそちらを見た。

「“多”をけん引する、責任重大な仕事だぞ…！「やりたい者」がやれるモノではないだろう！！周囲からの信頼あってこそ務まる聖務…！民主主義に則り真のリーダーを皆で決めるというのなら…これは投票で決めるべき議案！！！」

「そびえ立ってんじゃねーか！！何故発案した！！！」

真っ直ぐとお手本のように腕を伸ばす男。つか、委員長って雑務じゃなくて聖務なんだ。初知りだわ。

「日も浅いのに信頼もクソもないわ、飯田ちゃん」

「そんなん皆自分に入れらぁ！」

「だからこそ、ここで複数票を獲った者こそが真にふさわしい人間という事にならないか！？どうでしょうか、先生！！！」

「時間内に決めりゃ何でも良いよ」

飯田が訊けば、相澤先生は黄色い寝袋に入りながら適当に答えた。本当、相澤先生って、教師らしくねェな。

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