個性：重力操作

個性把握テスト ページ5

その言葉に、クラスメートたちはザワついた。

「なんだこれ！！すげー面白そう！」

「705mってマジかよ」

「“個性”思いっきり使えるんだ！！さすがヒーロー科！！」

そんなクラスメートと反対に、先生は何故か不機嫌になっていった。

「………面白そう…か。ヒーローになる為の三年間、そんな腹づもりで過ごす気でいるのかい？」

殺気に近いものが妾たちを襲う。肌がビリビリとした。生の殺気感じたの、これが二回目だな。

「よし、トータル成績最下位の者は、見込み無しと判断し、除籍処分としよう」

「はあああ!?」

グラウンドに、数名の生徒の絶叫が響き渡った…まァ、最下位除籍なんて、妾には無縁の話だ。妾は“個性”も強いし、それに…素の力はそこら辺の人間よりも強い。普通に“個性”使わなくても、最下位にならねェ自信がある。

「生徒の如何は先生(おれたち)の“自由”。ようこそこれが、雄英高校ヒーロー科だ」

髪をかきあげ、その顔に挑戦的な笑みを浮かべた先生。無意識に、妾の口角が上がるのがわかる。…上等、やってやろうじゃねェか。

「最下位除籍って…！入学初日ですよ！？いや、初日じゃなくても…理不尽すぎる！！」

丸顔の子の叫びに、先生は淡々と返した。

「自然災害…大事故…身勝手な敵(ヴィラン)たち…いつどこから来るかわからない厄災。日本は理不尽にまみれてる。そういう理不尽(ピンチ)を覆していくのがヒーロー。

放課後マックで談笑したかったならお生憎。これから三年間、雄英は全力で君たちに苦難を与え続ける。“Plus ultra”さ、全力で乗り越えて来い。さて、デモンストレーションは終わり。こっからが本番だ」

煽るように先生は指を数回曲げた。

「じゃァ、少しだけ、乱暴するか」

何があってもピクリとも動かない妾の表情筋。ポーカーフェイスを身につけたのだが、今回ばかりはにやけてしまった。まァ、仕方ないだろう。楽しみなもんは……楽しみなんだよ。

記録→←個性把握テスト

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す