【暗殺教室】彼女の瞳に映る世界【赤羽業】 (ページ10)

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磯貝side
Aの親父さん､赤葦圭吾(けいご)さんは警察庁長官で､警察のトップにいる人だ
彼は昔から何をするにも1番だったらしい｡周りからは天才だと言われ､将来有望な人だとも｡だがそれは高校である1人の男に会うまでだった｡

その男はーー浅野學峯､椚ヶ丘中学校の理事長だ

理事長は圭吾さんが今まで出会ってきた人の中で才能が桁外れだった｡
自分が今までいた場所を奪われた圭吾さんは理事長を抜くーー超える為に沢山努力したそうだ｡それこそは血の滲むような努力を｡だが､どれだけ努力を重ねようが彼は理事長を超えることが出来なかった｡その時彼は知ってしまった…元々の"才能"が違うのだとーー

それから彼は自分の子供に理事長を超える存在になってもらうようにした

あいつの母親､風夏(ふうか)さんと結婚し､3人の子供が産まれた｡長女､夏美(なつみ)さん､長男､秋斗(しゅうと)さんは圭吾さんが望むような才能は持ってなかった｡諦めかけたとき､あいつーーAが産まれてきた

Aが自分が望んできた子だと分かった圭吾さんはAを夏美さんたちから無理やり引き離し､2人を風夏さんにまかせ､Aに無茶な訓練をさせた｡その時Aはまだ5歳になったばかりだった
辛い訓練に体に痣や怪我がたくさんでき､泣いていたAを見てたまらず風夏さんは何度もやめるように圭吾さんに掛け合ったが相手にされず､酷い時には殴られていたそう｡
風夏さんは泣いているAを手当し､あやすことしか出来なかった｡その時風夏さんは泣きながらAにずっと「頼りない母でごめんね」と言っていたらしい

そして1年後､風夏さんは過度のストレスと心労により倒れ､それから今もずっと入院している｡
他の大人は心配していると言うがそれは言葉だけで実際はみな､圭吾さんの権力や"赤葦"という名前にしか興味のない人達ばかり｡本気でAを気にかけている人などいなかった……
そんな環境で育ったあいつは人を信じられなくなっていた｡

俺と前原はそんな肩書きなんかに興味は無かった｡だからAは俺たちとはよく一緒にいたし、遊んだ｡

中学になってから俺たち以外にも素の自分を出せるヤツができたと俺たちに話してくれた時は凄く嬉しかった｡Aが普通に笑って過ごせる空間があることにほっとしたんだ

だけどそれは長くは続かなかったーー