【鬼滅の刃】死亡ルートを回避せよ【音柱】

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部屋にいたのは鬼だった。

グシャリ、と音を立てて人肉を貪る様は紛れもない鬼の姿で──




『───っ！！』


咄嗟に身を引けたのは日々の訓練があったからこそだと思う。


──鬼が此方に気づいた、と思った瞬間には既に鋭い爪が目の前に迫っていた。




急所を庇った代わりと言わんばかりにパックリと裂けた右腕からは、止めどなく血が滴り落ちる。





(──これが、鬼。)



漫画で読むのとは明らかに違う、威圧的な存在感が私に現実逃避を許さなかった。



次々に繰り出される攻撃を、最小限の動きでかわしていく。──反撃に回れないの酷くがもどかしい。

そもそも忍とは“気づかれる前に殺る”のが鉄則であって、こうして正面から戦うことは考慮していない。つまりこの戦いにおいて、私には決定打となる攻撃手段がない。







それに日輪刀なんて持ってないし───このままだと鬼相手に朝まで耐久レースってことになるんだが。







それでも──



(逃げるって選択肢はない。──絶対に。)


幸か不幸か、兄たちは任務で今日中には帰ってこれない。でも、
この世界の運命が変わり始めてるということは、兄が無事鬼殺隊に入れる保証もなくなったということ。つまり、ここで私が逃げたことで兄が死ぬ可能性だって出てくるかもしれない訳だ。





(それだけは、させない)



兄が死ぬ可能性なんて１％たりとも残してやるものか。




奪うなら、私から奪ってみせろよ──運命。

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