【鬼滅の刃】死亡ルートを回避せよ【音柱】

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───マズイ、これはかなりマズイ。

『…………ぁ、ぅ』


駄目だ。何でもいいから取り敢えず言わなきゃならないとわかっているのに




「なぁ、大丈夫なのか？」


杏、と名前を呼びながら顔を覗き込んでくる兄を見た途端、私の脳は限界を迎えてしまったようです。





***






目覚めて最初の訪問客は、まさかの天元様でした。


──やめて、お願いだからそんな至近距離でイケメン力を見せつけないでくれ。格好良すぎて逆に泣けてくる。

こちとら病み上がりだぞ？死にかけたんだぞ？

目覚めてすぐのリアル天元様は今の私には毒でしかないし、貴方は自分の顔が凶器であることを自覚して下さいホント頼むから。



と、今の思いの丈を伝えたかったけど、現実で私ができたのは




『…………っ！』



零れるギリギリまで涙を溜め込み潤んだ瞳で
ぐいっと兄の肩を押し返すことだけでした。



いやこれが精一杯だったんだって！！

だって推しが！私の目の前にいる！
もう脳内大混乱だよ？さっきから処理能力が追い付いてないよ？
本当にいきなりの対面過ぎて、もはや自分の感情のコントロールの仕方がわからなくなってるし。




「…そう、だよな。いきなり入って悪かった。」


そう言った兄の目に一瞬、悲痛な色が走ったのが見えた。





あああぁぁぁぁぁぁぁあああ！！！！
ほらまた変な誤解を生んだよチクショウｯ！！


私とて出来ることならその誤解を解きたいとも。出来るなら(・・・・・)の話だがな！


例えば、
実は私、前世の記憶があるんです〜
なんて言ってみろ！毒にやられて頭おかしくなっちまった可哀想な子供の出来上がりだぞ？


それからもう一つ、今の私、軽く人間不信になってるからな。
身内に殺されかけたんだ、これは当然の流れだと思う。

男の人が特にダメ。恐怖……と言うよりは体が拒絶しようとするって感じだろうか。



あー、取り敢えず生きぬく為にはこの辺は早々に克服しとかなきゃなぁ………と、今後の生活に思いを馳せていたら大事なことに気がついた。







確か兄は今年で14か15になるはずである。そして原作の兄の年を逆算して考えると





────抜け忍になるの、今年では？





サアｯと血の気が引いた。


兄が忍を辞めるとき、それはつまり弟を残して兄妹が全滅したとき。



なんてことだ、想像より遥かに事態は深刻である。






死亡予定日まであと



◯◯日

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