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────“見られて”いる


山に入った時からうっすらとは感じていたが、奥へ進むにつれてより不躾けに向けられるこれは


(…………殺気、か)


姿を見せてこないところからして、まさか偵察のつもりなのだろうか?



──はぁ、もしそうだとしたらもっと気配を上手く消して欲しい。これじゃ位置がバレっバレだ。





(後方右から二本目の木に一匹、その三本奥にも一匹と─────ん? なんだあれ?)



スウッと五感を研ぎ澄ますと、此方に向かって得体の知れない“何か”が近づいて来ているのが かろうじて確認できた。

……あり得ないくらいの猛スピードで。



(気配は鬼……ではないな。え、まさか人間? 人ってあんな高速移動できるっけ?)



速度を緩めることなく一直線に此方に突き進んでくる。これじゃ逃げるにしても手遅れだろう。


(……仕方ないか。ここまできたら私に気づかず通りすぎてくれることを祈るのみ)





目標との距離あと500、4、3、2、1────









「─っとと、あれ?えっ!?女の子じゃん!?なんでこんなとこに女の子がいるの!!??」






………ガッツリ見つかりました。





*****



お館様から急な招集がかかり、暫く屋敷を出なくてはならない旨を伝えに杏の部屋を訪れた。
相変わらず心配性な兄が付けた見張りが外に立っているのが気になるが、それで彼女が大人しく療養してくれるのなら仕方ない。


「杏さん、少しお話が」


もう一度呼びかけてみる。が、やはり返事はない。

────これはまさか


「………すいませんが急ぎの用件ですので」



断りをいれてバッと扉を開ければ、そこに人影はなかった。


吹き込んだ風で一枚の紙がハラリと机から落ちる。




そこにはたった一言、




《夕方には帰ります》




「………………。」


駄目だ、ため息すらでない。
見張りは?いったい彼らは何をしていたんですか?


一周回って彼女の忍としての技術を誉めるべきなのか、はたまたその才能の無駄遣いを嘆くべきなのか。




「はぁ……後で怒られても知りませんからね?」




胡蝶の声は誰もいない部屋に静かに響いた。





******
おまけ




『──クシュンッ!』



なんの前触れもなく突然出たくしゃみ。


(ふぇ…どこかで私の噂でも────



………は!まさかもう兄様に気づかれた!?)






兄限定の危機察知能力が開花。

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ユミヤミ(プロフ) - ちょっと天元さんイケメン!見てる途中で何回も「はっっっ!やばいわー!」ってなりました!天元さんのイケメンが全面に出てますね!たまらんわぁ。 (2019年10月13日 20時) (レス) id: f76e313fab (このIDを非表示/違反報告)
雲隠 - うぎゃぁぁあぁぁ! 何これ?!天元さんかっこよすぎではないか!?嫁を心配している天元さんもいいけど、妹を心配している天元さんの破壊力がえげつねぇ! (2019年9月5日 17時) (レス) id: fa6b997845 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白い!天元!更新頑張って!(無理はしないでね!)応援してますよ! (2019年8月31日 13時) (レス) id: 3d6828cd0d (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです!好き!ホントに!更新頑張ってください! (2019年8月30日 20時) (レス) id: a0ce70a935 (このIDを非表示/違反報告)
れもねーど - 村田さんと関わるための布石嬉しいですありがとうございました! (2019年8月28日 9時) (レス) id: bcf5716af8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:赤い金魚草 | 作成日時:2019年7月19日 23時

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