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19歳の春、私は家を出てローマで一人暮らしを始めた。
確か前世で死んだのはこの時期だった。

そんなことを思いながら、もう変わり果てたローマの街を見回して歩く。
前方から歩く赤い目の男。

ふと目が合う。
……天童だ。


「天童!」


そう言って、振り返る彼。
間違いない。
彼も私と同じだ。

彼は私に近づいて、にっこり笑った。
そしてカフェでも行こうか、と言う。


「前世ぶり、Aちゃん」

「なんでだまってたの」

「どういうこと?」


彼は胡散臭い笑顔を浮かべて、手を大袈裟に広げて言う。
私は小さくため息をついて、言う。


「アダム」


そういうと彼は眉を動かす。
不敵な笑みを浮かべて、彼は言う。


「なぁに、イヴ」


そしてストローで弄んでいた氷が溶けると、彼はアイスティーを1口、口に含む。
彼はケラケラ笑うながら言った。


「神様は相当お怒りのようだよ、俺達が繋がったこと」


彼は私の分の会計も済まして、カフェから出ていった。
私もアイスコーヒーを飲み干して、またローマの街を歩く。

もう彼と会うことは無い。






ああ、またか。
シワシワになって骨の形がわかるほど、痩せこけた指を見る。

体が動かなくなる感覚、瞬きが重くなっていく感覚、家族のなく声。

何度も経験したはずなのに。
今回ばかりは、まるで初めてのように怖い。

死にたくない、そう思う。
でも抗えない。
私はそっと重い瞼を閉じた。

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時雨 彩(プロフ) - 中村千尋さん» コメントありがとうございます。大好きと言っていただけるだけで活力になります。これからもよろしくお願いしますね! (2019年10月8日 23時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
中村千尋(プロフ) - あなたの書く小説が大好きです!! (2019年10月8日 22時) (レス) id: a991a170a0 (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - syo_taさん» コメントありがとうございます!「牛島若利の落とし方」の方でもコメントされてましたよね?また応援コメントをくださって本当に嬉しいです。これからもよろしくお願いしますね! (2019年9月7日 20時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)
syo_ta(プロフ) - なんか、凄く、ぐわぁぁぁってなりました!!ほんとに、もう、やばかったです。語彙力が旅に出てしまいました。他の作品もとても面白く、読ませていただいています!!これからも頑張ってください!! (2019年9月7日 20時) (レス) id: 86bba6767f (このIDを非表示/違反報告)
時雨 彩(プロフ) - 姫鞠さん» コメントありがとうございます!殴り書きに近いので、本当に自己満作品なのですが、そう言っていただけて嬉しい限りです。ご愛読ありがとうございます! (2019年9月6日 17時) (レス) id: 8a1a36a2a7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:時雨彩 | 作成日時:2019年9月6日 0時

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