【牛島若利】牛島若利は青春のしかたを知らない【HQ】

ら ページ34

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「知ってる！」


私はそう言ってウシワカに背を向け、友達の胸に飛び込む。
顔が赤い。

友達の豊満な胸の弾力に弾かれ、その場に力なく座る。
すっぴんでも可愛いって？

そんなの私が1番わかってる。
なのに顔が熱くて、ウシワカの顔が見られない。


「口だけビッチがよく頑張ってるわ」

「うるさい、胸だけ女」


あーだこーだと言い合ってるうちに、チャイムが鳴る。
ウシワカの方が見れない。

席について、横目でほんの少しだけウシワカを見る。
ウシワカは少ししゅんとした様子で教科書を眺めている。


「ウシワカ？」

「すまん」

「なにが？」

「化粧するな、と言って」


私はその言葉に、口角が自然と上がっていく。
やっぱウシワカ面白い。
私は笑いながらウシワカに言う。


「別に気にしてないよ」


ウシワカは安心したように、少し微笑んで私を見た。
その笑顔にまた胸が締め付けられる。

ウシワカのくせに。
なんでこんな恋愛偏差値0のやつに振り回されてるの、私。

でも今まで付き合った人達はこんなに真正面から向かってきてくれる、真面目な優しい人じゃない。

私、ウシワカのこと好きになっちゃいけないんだった。

私はそう心に落とし込む。
舞い上がってた。
ウシワカみたいな人、私なんか釣り合わない。

ダメだ、私なんか。
バカ女はバカ男と付き合って、捨てられるはずなのに。


「A？」

「なんでもない」


ウシワカにそう言って、教科書やノートを開いて目で追う。
頭になんか入らない。

目に涙が浮かぶ。
やだ、マスカラがとれちゃう。
上を向いて引っ込める。

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