【牛島若利】牛島若利は青春のしかたを知らない【HQ】

理 ページ31

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「ウシワカ、ハグするとか他の子にはやんない方がいいよ」

「何故だ？」


きょとんとした顔で私を見る。
ウシワカがやると、本気になりかねない。


「なんでも！」


ウシワカとしたたった2回のハグが、私には忘れられない。
暗い夜道、ウシワカもきっと疲れてる。


「送ってあげるからもう帰って休みなよ、疲れてるでしょ」

「ああ、送るのはいい」

「わかったから」


ウシワカは私に背を向けてゆっくり歩き出す。


「バイバイまたあした」


そう言ってウシワカの背中を見る。
大きくてたくましい背中。
ウシワカの他意のない行動が私を揺るがす。


「ああ」


振り向いてそう言うウシワカ。
ウシワカの顔はいつもより少し穏やかで、優しい。

ウシワカにとってはただのハグ、私にとっては好きな人との大切なスキンシップ。
そんなの悲しすぎる。

ウシワカに貰ったピンクのリップつけてたのに、見もしない。
弄ばれている気分。

目にじわっと浮かんだ涙を手で拭い、深呼吸をして家の中に入る。

サンダルを脱いで、部屋に籠って模試の解き直しを再開した。

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