【牛島若利】牛島若利は青春のしかたを知らない【HQ】

者 ページ27

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「嬉しい、ありがとう」


私はリップを眺めて、ニヤニヤとするのがとめられない。
リップを握りしめ、トイレに向かう。

今つけてる赤いリップを落として、ドクンドクンと大きくなる心臓を抑えながらリップを塗る。

淡いピンクなのにしっかり主張する。
甘い香りが鼻をつく。
ウシワカは私より私に似合う色を知ってるよう。

私はチャイムがなる前に、ウシワカの元へ向かう。


「どう？」

「似合ってる」

「ありがと」


嬉しい。
ただ、ひとつ気になることがある。
ウシワカは知らないだろうけど。

"貴女にキスしたい"
男子から女子へ送るリップの意味。


「ねえウシワカ」

「なんだ」

「もし私以外にリップをあげる時は、意味調べてからにしな？」


ウシワカが相手じゃ、女子は本気になりかねない。
ウシワカは不思議そうな顔をして、私を見つめる。


「なにか悪い意味でもあるのか？」

「そうじゃなくて……」


私がウシワカに説明しようとすると、先生が遮ってHRを始める。
私はウシワカに貰ったリップをずっと眺めていた。


「嬉しいなぁ」


そう小さな声でつぶやく。
ウシワカがちらっと私の方を見て、また先生の方を向いた。

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