【HQ】英国貴族も楽じゃない【瀬見英太】 (ページ9)

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薔薇9本ページ9

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「お邪魔します」

一同の声が大きな玄関に響く。
玄関には、ドレスと言うにはシンプルなデザインのワンピースを着たAが居た。

彼女は左足を1歩引き、スカートの端を上げて礼をした。

「本日は暑い中、夜会出席のためわざわざ出向いていただき誠に感謝申し上げますわ。ノノ様、夕妃様、みくる様はわたくしが、瀬見様方は執事長のリチャードが案内致します」

Aはそう言って、こちらです、と女子を連れて奥の部屋に向かって行った。
リチャードさんがしばらくお待ちください、と言い、俺たちを残して部屋から出た。

「瀬見さん、ここなんなんですか？」

「俺も知らねえよ」

「こんな豪邸来たことないヨ」

「俺もねえよ」

「ふむ…… なぜ今日に限って部活も学校もないんだ？」

「天皇とか英国王室の人が来るからじゃねーの」

クーラーのきいた部屋で、白布や天童が俺に質問攻めをする。
リチャードさんがまた入ってくると、全員黙った。

「これから、タキシードを着ていただきます。立食パーティーですので、テーブルマナーは気になさらないでください」

そう言い、入ってきた数人の男性たちが丁寧に俺たちにタキシードを着せた。
なんとなくだが、これは高い。

変な箱に一つ一つしまわれていた。
絶対高い。
汚さないようにしよう、そう心に決めた。