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薔薇4本 ページ4

*




「お、おはよ」


背筋を伸ばして座るAに声をかけた。
Aはこちらを向いて、俺に笑いかけた。


「おはようございます、瀬見様」

「そういやAは部活入んねーの?」

「部活、ですか?」

「ああ、イギリスにはねえのか?」

「ありますが、わたくしはいつも稽古事がございました故、所属したことがございません」

「へえ、ならバレー部入るか?」

「お誘い誠に感謝致しますわ。ですが、時々社交界のために母国に帰りますし、勉学の方も大変だと思われるのでお断り致します」


Aは学校へは絵に書いたような黒塗りの車に乗って来る。
いつもボディーガードのような人がいる。

制服を気崩さず、そのまま着る真面目さ。
容姿や声、言葉の美しさ。
貴族ってこんな感じなのか。


「瀬見様はなんの部活に入っていらっしゃるのですか?」

「バレー部だ」

「それで誘ってくださったのですね」

「何部だと思ったんだ?」


Aは顎に手を当て、首を傾げた。
その姿も綺麗で、可憐。
Aはしばらく間を置いて


「フットボールかしら」


そう笑いながら言った。
フットボール、アメフトか?


「俺、そんなにごついか?」

「ああ、こちらではサッカーでしたね」

「サッカー? さっきフットボールって」

「ええ、イギリスではサッカーのことをフットボールと言いますの」

「へえ、初めて知ったな」


Aは手を口に当てて上品に笑った。

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作者名:時雨彩 | 作成日時:2019年5月21日 6時

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