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「廉、大丈夫だよ、廉はいつも頑張ってる。仕事も、求められてることにちゃんと答えようって、頑張ってる。キラキラしてる。アイドル、ちゃんとアイドルしてるよ。
廉が言う、その廉の仮面ってそんなに悪い仮面なのかな？だって、その仮面はファンのためを思ってやってるんでしょ？それをファンの子たちは受け取って喜んでくれて、て。俺はすごくいいことだと思うよ。なんなら、素を見せて好きになってもらおうとしてる俺よりよっぽどファン思いじゃない？」
「…しょお、は、できる人やから…」
「…れん…廉は、やれる人だよ。廉、俺と、廉は、違う。違くていい。違うからいい。そうでしょ。」
そう言って拭われた涙の先に見えた紫耀の顔はいつにも増して強く意志のこもった目をしていた。バチッとあったその目に、俺の中にあった否定する言葉なんてどこかに消えていった。
もはや操られるかのように頷いた俺。目の前の紫耀は嬉しそうに口角を上げた。優しくて、あたたくて。もやもやしていた心の中に光が差した気がした。
「…むかつく」
ぽろっとこぼれた俺の不器用な言葉に、紫耀ははてなを浮かべた。
「…しょお、が、やさしすぎてむかつく…」
「ふっなんだよそれ、びっくりした〜」
目の前のくるくる変わる表情にどこか懐かしさを覚えた。
「しょお、おれ、またがんばる…」
「おぉ、頑張ろう。一緒に頑張ろうな。」
その言葉に安心したのか、それとも自分が思ってたより体力を消耗していたのか、遠くで扉の開く音と、神の声が聞こえる中、ふわっと夢の世界に落ちていってしまった。
体を揺らす心地よい車の振動とそばに感じる紫耀の匂いで意識が浮上する。雪崩れるように寄りかかってるものが、紫耀だということも瞬時に理解した。
「廉、起きた？」
状況に驚き身じろいだ俺に気がついたのか、紫耀が話しかけてきた。それにも驚き急いで頭を浮かそうとすると、いいから、とそれをも阻止された。
「しょお、はずいやん…」
「ええやろ、俺もはずいもん。ふふ。」
ふふちゃうわ、と脳内で悪態をつくも、行動にはうつさなかったのは甘えたい心だろうか。
「なぁ、廉。今度しんどくなったら、連絡してな。一人で、ためんなよ。」
紫耀の優しさに、うん、と答える代わりに腕を絡めてやった。それを甘んじて受け入れてくれる、彼は、どこまでも俺の憧れの優しいヒーローだった。
「あまえんぼ。」
「うっさい」
end
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かみな - すごく綺麗で伝わってくる作品でした。応援してます！ (2020年3月22日 18時) (
レス) id: 6273f3044e (このIDを非表示/違反報告)
しろごはん(プロフ) - urrnkさん» urrnkさん、コメントありがとうございます〜！楽しんでもらえたようで良かったです。読んでくれてありがとうございました！ (2019年9月29日 12時) (レス) id: feb1916cdd (このIDを非表示/違反報告)
urrnk(プロフ) - とてもよかったです。 (2019年9月24日 2時) (レス) id: 427c4c7f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろごはん
| 作成日時：2019年9月22日 15時
