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スタジオに着き、お金を払いタクシーを降りる。
見慣れたアイドル誌の撮影スタジオのはずなのに、全然違う建物のように見える。もやもやで支配された心はそう簡単に晴れることなく薄暗かった。でもそんなことは言っていられない、グッと顔を上げ楽屋まで向かう。
楽屋が近づくほどに、もやもやはざわざわに変わり、なんなのかわからない不安に駆られる。そして楽屋まであと一歩のところでまた喉がキュッと締まり、俺の足を止めた。中から楽しげな海人と優太の声が聞こえて来る。いつもならなんとも思わないその声に息が詰まった。
楽しそうやな…
胸が苦しくて、締まった喉は呼吸の邪魔をする。息がつまり呼吸がうまくいかない。呼吸の邪魔になるマスクは無意識に剥いでいた。乱れていく呼吸にますます焦り、恐怖を覚える。
なんこれ…しんどっ…
一歩踏み出せば、優太たちがいるのに、助けてくれるだろうに、その一歩は踏み出せなかった。しゃがみ込んで自分の膝に顔を埋めることしかできなかった。自分の腕で自分を抱きしめて、なんとか落ち着こうと、ちゃんと呼吸しようと務めた。理解はしてる、これはもう過呼吸だ。
無理や…こんなん、もう、むりやろ…
不意に玄樹が頭に浮かんだ。でもその映像は、みんなに囲まれて介抱されてる、今の俺からしたら、幸せな画だった。
いつまでも落ち着かない呼吸に生理的な涙が溢れてくる。
クッソ。アホちゃうか、ほんま、もう、いやや
もうどうにでもなればいいと思った。
しゃがんでるのすらしんどくなって、重力に負けて廊下になだれ込んだ。遠くから聞こえてくる靴音もきにすることなく、乱れた呼吸も生理的に流れる涙もそのままに幼児のように丸くなった。
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かみな - すごく綺麗で伝わってくる作品でした。応援してます！ (2020年3月22日 18時) (
レス) id: 6273f3044e (このIDを非表示/違反報告)
しろごはん(プロフ) - urrnkさん» urrnkさん、コメントありがとうございます〜！楽しんでもらえたようで良かったです。読んでくれてありがとうございました！ (2019年9月29日 12時) (レス) id: feb1916cdd (このIDを非表示/違反報告)
urrnk(プロフ) - とてもよかったです。 (2019年9月24日 2時) (レス) id: 427c4c7f7a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しろごはん
| 作成日時：2019年9月22日 15時
