かくれんぼ 4 ページ9
太宰side
今日も隠れてるのだろうか…
Aとかくれんぼを始めて、約二週間。
相変わらずのキスは無いけれど、彼女らしいのがまた、愛おしい。
「A…?」
いつものように入った家は、真っ暗。
今日は電気を消しているのだろうか。
然し、今迄はこんなこと無かったのにねぇ…
「A? 居るんなら返事をしてくれ給え。電気を消すなんて、卑怯だよ?」
いくら呼んでも返事をしないA。
ひやりと汗が流れた。
真逆… 外に?
これは拙い…
Aの異能力「八雲」は、己を気配ごと消す異能だ。
彼女に触れなければ、異能は無効化されない。
「はぁ… 一体何処に… 」
取り合えず、エレベーターに乗り込む。
彼女の事だ、そう遠くには行ってないだろう。
全く… 若し本当にAが勝つとなると、私はAに会えない。
Aは、判っているのかねぇ。
Aの行きそうな場所は、行った。
それでも居ないという事は… 相当拙い。
「………治、此処だよ」
「え?」
誰も居ない筈のエントランスホールで、Aの声が聞こえた気がした。
真逆… 厭、でもそんな訳…
「………ちゃんと見つけてくれるって、約束したのに」
「…A、かい?」
「治、外ばっかり探して… 遅いよ。これじゃあ、治、本当に負けちゃうよ?」
背後からすっ、とAが現れた。
真逆ずっと、此処に居たと…?
「人間失格も、意味が無いね」
「それは、如何してだい?」
「私、異能を使っても治が私を見つけられるのか、試したの」
「なんでそんな事を… 」
「ナオミちゃんが、云ってたから。治なら、私が何処に居ても見つけられる、って… 」
「…嗚呼、そう云う事か。やっと、判った」
「何が?」
「私がAを見つけられない? そんな訳ないだろう… 約束したじゃあないか」
「だけど… 治、負けた」
「あはは… ストレートだね。うん、だからこれから頑張るよ」
「頑張る?」
「私も修行をしなければ、だろう?」
Aを抱き締める。
真逆、彼女にそんな思いをさせて居たとは…
申し訳ない、というか情けない。
「えへへ、治が負けた記念日だね!」
「厭… それは勘弁してくれ給え。どうせ明日、また鬼は変わるからね?」
.
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陰キャ君☆ - とても面白かったです!!更新頑張ってください! (2022年5月20日 20時) (レス) @page11 id: 23c8d55696 (このIDを非表示/違反報告)
紅月(プロフ) - ところてんさん» コメントありがとうございます(*^^*) 更新頑張ります! (2018年9月9日 21時) (レス) id: c8e9e68a05 (このIDを非表示/違反報告)
ところてん - とても面白いです!今後の更新、期待してますね! (2018年9月9日 21時) (レス) id: 342d6c7e81 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紅月 | 作成日時:2018年9月8日 19時