かくれんぼ。【太宰治】

修行 ページ7

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「ナオミちゃんっ！！」



「あら、Aさん！ お久しぶりですわ！ どうしたんですの？」



「それが…Aさんがかくれんぼの必勝法？を、知りたいと… 」



「かくれんぼ？ 珍しいですわね」



「治にどうも勝てなくてね。ナオミちゃんとか、知ってそうだし… 」



「そんなの、必勝法なんて無いと思いますわ」



「無い…？」






ナオミちゃんは一体、何を云っているのでしょう。

必勝法は無い？

私が治に勝つのは、不可能なんですか？








「何故なら！ 愛する人を見つけるのは、当たり前の事ですもの！」



「へっ？」



「一寸ナオミ、Aさんは真剣に考えているンだよ…？」



「兄様だって私を見つけてくれますもの、ね？」



「まァ、そうだけど… 」







愛の力…ですか？

治が私を見つけるのは当たり前、とナオミちゃんは云いました。

けど、一寸難しいです。

愛する人なら、見つけられるって…







「魔法、って事？」



「厭、Aさん別に本気にしなくても… 」



「そう云う事になりますわね！ 太宰さんはAさんの事、愛してますもの！」



「そ、そう…？ あまり感じないけど」



「あら、でもこの前だって、」



「ナオミ、それ以上は駄目だ。太宰さんに悪いし」



「ふふっ、そうですわね」



「？」








何を云っているのでしょうか…

太宰さんが私について、何か云ったとか…？

悪口だったら、一寸ショックですね。

…厭、結構ショックです。








「あ！ 悪口じゃないンで！ 大丈夫ですよ！」



「そう…？」



「太宰さんがAさんの事を悪く云うなんて、あり得ませんわ！」









二人に念を押され、頷いてしまったものの… 変な感じです。

確かに、治は何時も優しいですが…

周りに云われると、妙に納得出来ません。







「じゃ、じゃあ！ 次は与謝野さんの所にでも、行きましょう！」



「え？ あ、そうだね！ そうしよう！」






谷崎君との修行は、まだまだ続きます。




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