皆のことは大好きなんだ。 #GENE (ページ9)

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No.9 ページ9

(新曲などは発売順などがバラバラです)

次の日は昼から新曲「ALL FOR YOU」のレッスンがあった。

白の半袖のロゴTの上から七分袖のクリーム色のパーカーを着て、

白のラインの入った黒のひざ下のジャージにダンスシューズを履いて

髪の毛をひとつにまとめレッスン室に入った。

.

先「じゃあ始めるよ。」

皆が全員揃って始まったダンスレッスン。

最初はヴォーカルの2人も踊る部分から始まり、

途中で2人が抜けたあと、全ての振り付けを教わる。

大きな鏡の前に先生を真ん中にして

　先

数私白片

関佐中小

という感じでいつものように並ぶ。

先「ワン、ツー、スリー、フォー」

先生のカウントと共に響くダンスシューズのｷｭｯｷｭｯと擦れる音。

「ALL FOR YOU」はバラードだから激しめの曲の振り付けよりかは覚えやすい。

だけど私にはダンスを覚えるに加え、もう一つ……。

先「柚木っ、もうちょっと大きく踊って。」

『はいっ。』

E-girlsの時とは違い、GENEやEXILEの時は男の人を隣にして踊るから、

それに対抗できるくらい大きく全身を使って表現しないといけない。

ただでさえ男の人が大きく踊ろうとするのだから私はその倍。

女だから、周りに比べて体が小さいからなんて理屈は通用しない。

やるって決めたら最後までやり通す。

そんな気持ちで私は鏡を前にして踊るんだ。

.

先「じゃあ20分休憩。」

休憩の指示が出て私はバッグの中からスポーツドリンクとタオルを取り出し、

部屋の隅に置かれた椅子に座る。

『ﾊｧ～。』

昨日のことがあったから話しかけようとするメンバーはいなかった。

いつもだったら休憩の間に皆と振りの確認とかするのに。

そう思ってスマホの電源をつけると

6件の不在着信と14件の未読のLINEの通知に気がついた。

全てメンバーからだった。

私は、LINEに既読をつけないままスマホの電源を落とす。

真っ黒になった画面には惨めで罪悪感を抱いた表情の自分が映っていた……。